研究課題/領域番号 |
23K13945
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
米田 有希 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (70837608)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ホウレンソウ / 雌雄異株 / 性比コントロール / 環境刺激 / 安定生産技術 / 温度処理 |
研究開始時の研究の概要 |
ホウレンソウは個体ごとに単性花をつける植物で、性発現には性染色体だけでなく、温度などの環境刺激も影響を与える。これまで生育の雌雄差を裏付ける定量的データは少なく、その特性を利用した栽培方法は開発されていない。そこで本研究では、「環境刺激による性比コントロール技術」を、性差を利用した安定生産技術として可能とするために、雌雄の生育特性を解析し、後天的な性決定に関与する温度、光条件を見出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
ホウレンソウ雌雄の生育差については一般的には雄株に比べて雌株の方が地上部は大きく、花芽がつきにくい晩抽性があると認知されているが、どの品種や環境においても雌雄差が発生するのかなど、詳細な条件は未だ不明であった。そこで初年度である2023年度は温度変化が及ぼすホウレンソウ雌雄の抽苔性能差の検討をグロースチャンバー内で、自然環境下におけるホウレンソウ雌雄の生育差の検討を雨よけハウス内で行った。 ホウレンソウ品種は、西北欧圏で育成された西洋種や、アジア圏で育成された東洋種の2種に大きく分類される。グロースチャンバー試験では、西洋種3種と東洋種2種の計5品種を用いて、日中の温度環境だけ変化させた低温区、適温区、高温区、栽培初期にだけ低温処理を行う変温区の計4栽培区で、抽苔するまでに要した日数を雌雄別に測定した。結果、5品種中4品種において雄株に比べて雌株の方が有意に抽苔までにかかる日数が長くなり、晩抽性能を持つことが示された。以上のことから多くのホウレンソウ品種の雌株は、雄株に比べて晩抽性能を持つことが本研究によって網羅的かつ定量的に明らかにすることができた。 雨よけハウス試験では、西洋種3種と東洋種4種の計7品種を用いて農研機構西日本農研善通寺拠点において2023年11月6日から秋冬作として栽培を行った。ホウレンソウの雌雄判別は、通常花芽を目視することで判別されるが、本試験では花芽がつく前に葉の一部を用いて遺伝診断から雌雄判別を行う。現在は生育調査が完了し、凍結保存した葉サンプリングを用いて雌雄の解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グロースチャンバー試験では初年度から温度変化試験と光質試験を行う予定であったが、2023年11月に所内電気工事に伴い毎週末3回の停電があったため、栽培中であった試験の中止と、1ヶ月間栽培ができない状態になった。また、西洋種の一つである‘ハンブルグ’は本試験で用いた他4品種の抽苔平均日数である27.2日に比べ、12.3日多い39.4日かかった。グロースチャンバー試験における雌雄判別は花芽を目視で判別するため、抽苔日数から雌雄判別までにさらに日数を要する。‘ハンブルグ’の低温区は播種から判別まで約150日を要した。 雨よけハウス試験では、2023年9月28日に秋作として栽培試験を開始したがヨトウムシによる食害が見られ、試験を中止した。11月に再試験を開始し、そのため解析調査が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
グロースチャンバーにおける光質試験は各光条件を再現できる光源装置の設計は完了しており、昨年度の遅れを考慮して装置を増設して2024年度より栽培試験を開始する予定である。‘ハンブルグ’に関しては雌雄判別までにかかる日数が低温区において非常に長くなったが、光質試験ではすべての品種を適温条件下で栽培を行う。雨よけハウス試験における遺伝診断に関しては既に実験系は確立している。以上のことから計画通りのスケジュールに回復できると考えられる。
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