研究課題/領域番号 |
23K13953
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
足助 聡一郎 神戸大学, 農学研究科, 助教 (90882514)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | いもち病菌 / エンバク / 病原性fine-tuning / 非病原力遺伝子 / 抵抗性遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
ホストジャンプによる新興病原菌の発生は安定的な作物生産における予期せぬ脅威である。いもち病菌は様々なイネ科植物属特異的に寄生性分化していることで知られているが、栽培エンバク(Avena sativa)に流行病を引き起こす「エンバク菌群」はまだ報告されていない。しかし、そこに至る途上の中間型はすでに野外から分離されており、今まさに栽培エンバクへのホストジャンプを成し遂げる過程にあると考えられる。本研究ではいもち病菌のエンバクへの漸進的な病原性増大、最終的な「菌群」確立に寄与する遺伝子の同定・単離を試みる。
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研究実績の概要 |
いもち病菌のエンバクへのホストジャンプ成立の可能性を検証するために、まず、いもち病菌の微弱な病原性の増大に関与する原因遺伝子の同定を試みた。コムギ菌Br48、Br48のPAT1破壊株Br48ΔPAT1、エンバク菌Br58、ライグラス菌TP1、TP1のPAT1破壊株TP1ΔPAT1、セイヨウチャヒキ菌Ast1を感受性エンバク品種にドロップ接種し、病斑面積を計測することで感受性品種上に認められる微弱な病原性を定量的に評価する実験系を構築した。本法で解析したところ、Br58とBr48ΔPAT1間で病原性の差が認められ、これらを交配したF1集団を作出し、病原性の分離分析を行った。その結果、病斑形成面積の大きい菌系と小さい菌系が1:1に分離し、1つの遺伝子が微弱な病原性に関与していることが示唆され、これをPAT2と命名した。今後、バルクシーケンス法を活用した分子マッピングを試みる。 次に、未だ打破されていない抵抗性エンバク品種に対する非病原力遺伝子の単離を試みた。Br58およびBr48ΔPAT1に抵抗性を示すエンバク品種のうち、Ot-5はRbl1、Ot-22はRbl2という単一の抵抗性遺伝子を保有し、抵抗性を発揮している。これらの品種に対して病原性を示す野生いもち病菌株は未だ見出されていないが、非病原性菌株同士を交配したF1菌系の中からOt-5, Ot-22に病原性を示す菌系(Yt1R53, Yt1R9)をそれぞれ得ることに成功した。そこで、Rbl1, Rbl2に対応する非病原力遺伝子(AVR-Rbl1,AVR-Rbl2)を同定するために、2つの交配集団を作出した。そのうちの一つにおいてAVR-Rbl2が単独で分離することを確認した。分子マッピングを試みたところ、AVR-Rbl2は第5染色体上に座乗することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドロップ接種により形成された病斑の面積を測定し、病原性を定量的に評価する実験系を構築することができた。PAT2, AVR-Rbl1, AVR-Rbl2の3つの遺伝子それぞれについて分離集団作出と病原性分離分析を行い、そのうち、AVR-Rbl2は座乗領域の絞り込みに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、解析が先行しているAVR-Rbl2の単離を目指す。現在、絞り込まれた領域を網羅するBr58のBAC libraryのスクリーニングおよびRNA-seqデータを用いたエフェクター候補遺伝子の同定を進めている。PAT2、AVR-Rbl1についてはバルクシーケンス法等を活用しながらマッピングを進める。また、必要に応じて明瞭な分離を示す戻し交配集団を新たに作出する予定である。
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