研究課題/領域番号 |
23K13955
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
水谷 雪乃 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (60951762)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 内在性ウイルス / アサクサノリ / タンシサイ / ウイルス制御 / Toti-likeウイルス / 内在性RNAウイルス / アマノリ |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルスには一過的に宿主に害を与えるものだけでなく、一生涯宿主の細胞に内在し続けるものが存在するが、我々はこれまでに食用の乾海苔に内在性ウイルスが常在していることを発見している。しかし、この内在性ウイルスが宿主に与える影響については全くの未解明であるため、本研究では人為的に内在性ウイルスを操作する技術を開発し、このウイルスの有無が海苔の生理状態に与える影響を明らかにすることを目指す。本研究は、藻類学・ウイルス学の新しい学問研究分野の開拓のほか、ウイルスの機能を活用した生物農薬開発などに資する、新しい育種技術の基盤となり得る課題である。
|
研究実績の概要 |
初年度はウイルス粒子の回収方法の検討と、ウイルスの局在を解明するためのサンプルの大量培養を試みた。対象としているタンシサイは葉状体と糸状体の二つの形態をもっているため、まず本研究室で保管されていた糸状体タンシサイをウイルス粒子が十分に回収できる程度に増殖させた。また過去に葉状体に分化させ、凍結して保存してあった葉状体タンシサイを解凍し培養を試みたが、サンプルの保存状態が悪く上手く成長しなかったため、再度糸状体から葉状体へと分化させた。葉状体への分化には時間を要したため、糸状体タンシサイを用いてウイルス粒子を回収する方法を検討した。従来のウイルスであれば宿主細胞を破壊し、細胞外へと放出されるが、内在性ウイルスは細胞内にとどまっているため、作為的に細胞を破砕し、様々な細胞内小器官が含まれている混合液からウイルス粒子を回収する必要がある。初年度では、糸状体サンプルを凍結乾燥させたのちに、ビーズビータを用いて破砕、サンプルをPBSに懸濁した後に、限外ろ過等を用いてウイルス粒子の分画を試みた。得られた各画分をSDS-PAGEおよびRT-PCRで推定したところ、ウイルス粒子が含まれている画分を特定できた。しかし、該当の画分にはウイルス粒子と共にタンシサイ由来の色素などの分子も同時に含まれていたため、現在はこれらの色素とウイルス粒子を分ける方法を検討するとともに、回収されたウイルス粒子をウイルスが感染していないアサクサノリ細胞へと導入する方法を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度はノリを培養するための培養庫を新しく設置したため、当初は新しい培養庫でのタンシサイの培養が上手くいかず、ウイルス局在解析に使用する検体の準備に時間をとられてしまった。現在はある程度安定して培養できるようになったが、予定していたよりもウイルスの局在解析の進捗は遅れてしまった。一方で、次年度以降に着手する予定であった、ウイルスの共在性操作を開発するために必要である内在性ウイルスの粒子の回収方法を検討し、ある程度の道筋が見えてきた段階であるため、「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
現在葉状体のタンシサイを成長させているため、このサンプルがある程度成長した後、切片を作製しウイルスの感染場所を特定する。また、同サンプルを用いてタンシサイのプロトプラストを作製し、抗ウイルス剤などを用いてタンシサイの内在性ウイルスの除去を試みる。また本操作と並行して、初年度に開発されたウイルス粒子の回収方法も用いてウイルスを集め、内在性ウイルスが検出されなかったアサクサのプロトプラストに、ウイルスを導入する方法を検討する。
|