研究課題/領域番号 |
23K13973
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小池 辰典 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 研究員 (60972859)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 日本庭園 / 作庭記 / 造園書 / ランドスケープ / 造園史 |
研究開始時の研究の概要 |
世界最古の造園書とされる『作庭記』について、歴史学の手法を導入することにより、成立した時代背景の解析を行い、その著者像に迫ることを目的とする。 日本庭園の技術をユネスコ無形文化遺産に登録しようとする動きがあるなか、造園学には、伝承されてきた技術に関する知見を提供するという重要な役割がある。そのためには、最古の造園書という原点となるものの特徴を押さえておくことが必須であり、当時の政治・社会・文化などを含めた総合的な再調査を行いつつ、著者の人物像を掴んでいく。これにあたって、歴史学で蓄積されてきた政治史・社会史などの知識やアプローチ方法を導入する。
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研究実績の概要 |
近年、日本庭園の技術をユネスコ無形文化遺産に登録しようとする動きがある。これを踏まえ、本邦および世界最古の造園書であり日本造園学の原点の一つとして注目されてきた『作庭記』について、成立した時代背景の解析や著者像などの解明を進めることが本研究の目的である。 研究初年度の2023年度は、『作庭記』の伝来や著者、成立時期の社会状況を掴むための史料の収集・整理につとめた。作成時期に関し、『作庭記』の内容から藤原頼通(992-1074)の高陽院修造に立ち会った人物の作成とわかるため、当該期の社会状況に関する歴史学・国文学・考古学の文献収集にあたった。特に『作庭記』の成立は国風文化の成立と同時期であり、その点を重視した。また、著者は藤原頼通の息子である橘俊綱(1028-1094)とする説が有力だが、その論拠である『作庭記』異本『山水抄』について活字版の底本である東京都立図書館の加賀文庫所蔵本を複写し、書誌情報の確認を進めた。あわせて橘俊綱の業績・動向を史料でも追跡しつつ、橘俊綱が造園書を受け継いだと記す『山水并野形図』付随の造園書伝授に関する系図を確認した。そして、『作庭記』の伝来を調べるため、現在所在が確認できる写本の収集・整理を「国書データベース」を軸に行い、書誌情報を整理もした。これらの情報を適宜活字にしつつ、図表などを作成して整理を進めている。 また、粟野隆(東京農業大学)先生が代表を務める日本造園学会の「日本庭園の「こころ」と「わざ」に関する研究推進委員会」における活動を基礎に研究を進めた。同委員会による『作庭記』を取り上げた『ランドスケープ研究』の特集号でレビューの一端を担ってもいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
史料・文献の収集と整理は当初の目標に近づいた。 ただし、出張調査について、コロナにともない調査対象の研究機関の開閉が未定となっていたため、調査旅行が実施できず旅行費用を一切使えなかった。そのため一定の遅れが出たと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
『作庭記』の書誌情報について論文を投稿中である。また、本年度の調査により、研究対象の時期と対象を拡大する必要が生じた。そのため、新たな史料の発掘に勤める。これらをもとに、更に論文執筆を進める。
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