研究課題/領域番号 |
23K13974
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
龍見 史恵 北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(PD) (30883417)
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研究期間 (年度) |
2023-01-20 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 外生菌根菌 / 土壌微生物 / 都市生態系 / 内生菌 / 都市緑化 / 窒素循環 / トランスクリプトーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、都市の緑地管理手法が土壌・植物さらには人間の健康に関る微生物群集へ与える影響を解明し、この視点から最良と考えられる環境を土壌を起点に簡易的に誘導する方法を検証することを目的とする。そのために、(1)樹木の植栽密度や土壌被覆に用いられる材質の違いなどが(a)土壌の微生物群集および植物への栄養分供給機能、(b)樹木の栄養状態および植物体内に共生する微生物群集、(c)空気中や雨水など人と接触する環境中の微生物群集に与える影響について、環境DNA解析技術などを用いて解明し、さらに(2)簡易な方法による土壌微生物の導入により、都市環境の植物生育や微生物群集機能の改善可能性について検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、アメリカ・ボストン都市内の様々な緑地(76カ所)において、土壌、植物の葉および根のサンプルをそれぞれ228サンプルずつ採取し、DNA抽出を行い、都市の緑地生態系内の微生物群集が、管理方法の違いによってどのように規定されるのか解明を進めている。また、都市でよく用いられる土壌に、複数のタイプの森林土壌(都市林縁部、都市林内部、郊外林内部)を加えてポット実験を行い、森林土壌微生物、特に都市環境ストレスに既に適応した森林土壌微生物の導入が、街路樹の生育や健康を改善するのか、明らかにする研究を進めている。当該年度の研究にて、各緑地を、合計の樹冠の面積および下草やリターの有無など、管理強度に基づいて、森、林、公園、芝生、街路の5つのタイプに分類した。その結果、管理強度に伴って有意に、土壌温度・pH・硝酸態窒素濃度が上昇し、土壌含水率・有機物含有率が低下しており、都市緑地の管理特性の違いが土壌環境を大きく規定することが明らかとなった。これらの土壌因子は、土壌微生物組成の決定要因として知られている。一方で、土壌中のアンモニウム態窒素濃度および可給態リン濃度については、管理強度による有意な差は見られなかった。さらに、管理強度に加えて、各緑地の位置する地域の人口密度が、上記の土壌要因に与える影響についても検定を行ったが、明瞭なパターンは確認できなかった。緑地の立地については、さらに細かい情報(近隣の交通量など)も集める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたサンプリングが無事に完了し、土壌の物理化学特性の分析およびDNA抽出についても順調に進められている。また、ポット実験も無事に開始させることができたた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、緑地の微生物叢の解明に関しては、引き続き採取済みのDNAサンプルの分析・解析を進める。開始済みのポット実験についても、定期的に状況を確認しに行き、計画通りの時期にサンプルを採取する予定である。
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