研究課題/領域番号 |
23K13984
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
山中 聡 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10804966)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 保持林業 / 経済評価 / アンケート / 審美的価値 |
研究開始時の研究の概要 |
森林伐採時に樹木を残す保持林業は、公益的機能維持と木材生産とを両立させる森林管理として提唱され世界的に広く普及してきた。この保持林業の日本での社会実装を進めるには、合意形成の基盤となる保持林業の社会的価値の把握や、費用便益の比較が必要となる。本研究では、一般市民が保持林業をどの程度支持し、その実施に費用を支払うのか(支払い意思額)を森林の審美的価値に着目したアンケートによって調査する。また、保持林業による経済損失を日本各地の広葉樹が侵入した人工林での植栽木の成長量調査から推定する。最後に両者を用いて費用便益分析を行い、保持林業の社会的価値が最も高くなる導入方法を経済的視点から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本課題では伐採時に一部の樹木を伐り残す森林管理である保持林業を対象に、その費用便益分析を行うことで、保持林業の社会的便益はその経済費用を上回るのか、最も経済価値が高くなる保持林業の実施方法(木の残し方)はどのようなものなのかを検証する。 保持林業の経済便益を調査するため、森林管理に関する支払い意思額ならびにウェブアンケート調査に関する文献収集を行った。また一般市民の保持林業への支払い意思額を調査するアンケート設問の作成を開始した。当アンケートには、回答者が保持林業の実施状況(伐採地に残した木の量や質の違い)を理解しやすくし、かつ森林の見た目の好ましさ(森林の審美的価値)の効果を検証するため、伐採地のイメージ画像を追加した。イメージ画像には、実際の保持林業実施地の保持木密度をもとに作成した森林の3Dモデルの画像を用いた。 保持林業による経済損失を算出するため、侵入広葉樹による針葉樹人工林の成長低下を検証できる調査地の探索を行った。この結果、調査適地の数が当初の想定よりも少なく、広葉樹が侵入している針葉樹人工林を様々な林齢(若齢林から壮齢林まで)と樹種で揃えることが困難であることが予想された。このため、継続的な毎木調査がすでに実施されている林分のデータを用いて、広葉樹が近接する針葉樹成長量の低下が推定可能かについても検討を進めることとした。本年度は、広葉樹と対象針葉樹との距離、年成長量の関係から、広葉樹等の上層木が針葉樹植栽木の成長量に及ぼす影響を予測するモデルを構築するための文献整理と検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連文献の収集、アンケート設問作成に想定以上の時間がかかったため、本年度実施予定であったプレテストが実施できなかった。この設問の妥当性をチェックするプレテストは次年度に行い、その後本調査を行う予定である。 針葉樹植栽木の成長低下率の調査についても、当初の想定よりも調査候補地が得られなかったため、すでにデータ蓄積がある林分情報を用いて成長低下率を推定可能であるか検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
保持林業に対する支払い意思額を調査するアンケート設問を作成しプレテストを実施、設問の調整を行う。その後全国を対象としたWebアンケートを実施する。 侵入広葉樹による針葉樹植栽木の成長低下率を把握するために、広葉樹等の上層木が針葉樹の成長量に及ぼす影響を予測するモデルを検討する。
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