研究課題/領域番号 |
23K13985
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
小林 卓也 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (10934242)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 木材腐朽菌 / 昆虫 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
森林には昆虫をはじめとした多様な種の生物が生息しているが、その栄養源・生息場所として枯死木は重要な役割を果たしている。本研究では、枯死木に関わる生物多様性の維持機構の解明を目指し、「枯死木を分解する腐朽菌類が、枯死材性昆虫に多様な生息場所・餌資源を提供することで、その高い種多様性に貢献している」という仮説を提案し、検証する。具体的には、①木材腐朽菌類の種により枯死木の特性は異なるか、②枯死材性昆虫が特定の菌種による腐朽材への選好性を示すか、③野外の枯死木において腐朽菌類の種や機能の多様性と昆虫の多様性に関係がみられるか、などの点を室内実験、野外操作実験、野外調査等により検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は羊ヶ丘実験林(北海道札幌市)内の落葉広葉樹林に調査区を設置し、実施している。本年度は、羊ヶ丘実験林において枯死木や木材腐朽菌の子実体から菌糸を採取し、実験室で分離培養を行なった。培養菌糸からDNAを抽出し、ITS領域を用いたDNAバーコーディングにより枯死材性菌類を同定した。これらの菌類による木材の分解特性を評価するため、コナラ木片に菌糸を接種して12週間の腐朽試験を行った。菌種により材の分解能力は大きく異なり、ほとんど分解能力を示さない種から、2割以上の重量減少を示す菌種がみられた。腐朽試験の結果に加え、文献調査から得られた各菌種の腐朽様式(白色腐朽、褐色腐朽等)の情報を総合し、野外操作実験に用いる4菌種の選定を行なった。野外操作実験の準備として、これらの菌類を滅菌したコナラの丸太に接種し、実験室内での培養を開始した。また調査区に枯死木と衝突板トラップを設置し、枯死木性の昆虫群集の調査を行った。採集した昆虫については形態とDNA情報を用いた同定を行うため、非破壊的な手法でのDNA抽出をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、計画していた調査区での菌類の採集と実験に用いる種の選定、野外操作実験に向けた丸太での培養を予定通り行うことができた。また、予定していた野外における枯死木性昆虫の調査を開始することができた。採集した昆虫からの非破壊的に抽出したDNAについては順次分析を開始しており、次年度にかけて次世代シーケンサーを用いたDNAメタバーコーディングを予定している。以上のことから、計画は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)木材腐朽菌類の種により枯死木の特性は異なるかを明らかにするため、実験室で各菌種に腐朽させた材の分析を行う。 2)枯死材性昆虫が特定の菌種による腐朽材への選好性を示すかを明らかにするため、異なる腐朽菌類に腐朽させた丸太を調査区に設置し、飛来する昆虫類の調査を行う。採集した昆虫から非破壊的にDNAを抽出し、標本の形態観察とDNAメタバーコーディングにより群集構造を明らかにする。
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