研究課題/領域番号 |
23K13987
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
經隆 悠 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (60836427)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 斜面崩壊 / 土石流 / 土砂災害 / 炭素固定 / 再造林 |
研究開始時の研究の概要 |
崩壊跡地における再造林による若齢林の再生は,炭素固定を促進し,長期的には気候変動を緩和する可能性がある。しかし,崩壊跡地の再造林によって,炭素固定量がどの程度増加するのかは解明されていない。本研究では,土砂災害の被災地における森林の復旧が,炭素固定の観点からどの程度有効であるかを評価するために,温暖化シナリオ毎に推定した将来の斜面崩壊の発生頻度に基づいて,崩壊跡地の再造林による炭素固定量を推定する。
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研究実績の概要 |
気候変動シナリオの違いが将来の斜面崩壊の発生頻度に及ぼす影響を明らかにするため,2種類の全球気候モデル(MIROC5・MRI-CGCM3)とIPCC第5次報告書に準拠した2通りの温暖化シナリオ(RCP2.6・RCP8.5)を組み合わせた4通りの降雨量の推定値を使用して,各モデルとシナリオにおける2100年までの斜面崩壊発生危険降雨の発生する回数と時期を比較した。将来の72時間雨量の推定値が,現在気候下における100年に一度の確率雨量に達した場合に,その降雨を斜面崩壊発生危険降雨と判定した。降雨の推定値が斜面崩壊発生危険降雨に達したと判定された日を,斜面崩壊発生危険日と定義した。その結果,どちらの全球気候モデルにおいても,RCP2.6よりも温暖化が進むシナリオであるRCP8.5において,より多くの斜面崩壊発生危険日が発生することが明らかになった。加えて,RCP8.5では,どちらのモデルでも斜面崩壊発生危険日が2060年以降に増加し,最大3地域で同時期に斜面崩壊が発生する危険性があることが予測された。これらの結果は,温暖化が深刻化するほど,斜面崩壊の発生危険性が特に2060年代以降に増加することを示唆しており,気候変動が将来の土砂災害発生リスクに及ぼす影響の評価に貢献する。さらに,これらの結果に基づいて,崩壊跡地の再造林による若齢林の再生がもたらす炭素固定の増加を評価するために必要な,2100年までの斜面崩壊の発生頻度の推定結果を取りまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに,全球気候モデルの降雨量予測値に基づいて,将来の温暖化シナリオ毎の斜面崩壊発生危険降雨の発生頻度が推定できた。当初は,特定の対象地での推定を予定していたが,確率雨量の解析に近年開発された新手法を用いることで,日本全土の広域評価が実現できた。このように,想定以上の成果が得られており,おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
将来の斜面崩壊発生危険降雨の推定結果を論文として取りまとめる。また,過去の斜面崩壊による炭素流出量を推定するための現地データの整理を進める。
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