研究課題/領域番号 |
23K14002
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉川 晟弘 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 特任研究員 (70906148)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 食物網構造 / 種多様性 / 藻場 / 沿岸域 / 深海域 / 刺胞動物 |
研究開始時の研究の概要 |
沿岸生態系における生物生産メカニズムの解明には、そこに暮らす動植物の種多様性や、食物網構造についての網羅的な知見が必要である。しかしながら、軟体部のみで構成される刺胞動物については、その扱いの難しさから、食物網における役割はおろか、出現する種組成さえも未だ把握できていない。そこで本研究では、底性の刺胞動物(イソギンチャク・ヒドロ虫類)の、簡便な種判別手法の確立・分類学的混乱の解決を行い、各沿岸環境における種相および、それらの種が具体的に何を食べ、何に食べられているのか、どれほどの栄養価値があるのかを明らかにし、沿岸生態系の食物網構造の包括的な理解を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、沿岸域に生息する刺胞動物の種多様性の把握と、各種の食物網における具体的な役割を明らかにする。特にイソギンチャク類については、その種判別に必要な内部形態を観察する際に多数のステップが必要となることから、種多様性の把握が遅れていた。そこで本課題では、μCTスキャンを用いた非破壊的かつ簡便な内部形態の観察手法を整えることで出現する種の判別を行い、沿岸域に生息するイソギンチャクの種多様性の包括的な把握を目指す。引き続く課題にて、各種が具体的に何を食べ、何に食べられているのか、およびそれらの種組成・現存量・栄養価の季節変動を明らかにする。 研究期間の初年度である令和5年度には、主に底引き網漁で頻繁に混獲されるイソギンチャクの分類学的位置の把握を実施した。生物試料は、三重県熊野灘沖および静岡県駿河湾沖の大陸棚(水深100mから200m)にある砂泥環境にて採集されたものを用いた。令和5年度内に得られた試料および令和4年度までの三重大学が所有する勢水丸航海で得られた試料について、μCTスキャナおよび組織学的手法を用いた形態解析および、複数の遺伝子領域を用いた系統解析も行った。その結果、当該海域に多産するヤドカリの貝殻の上から見つかるイソギンチャクが未記載種であることが判明した。得られた結果の一部については、2023年11月の第17回日本刺胞・有櫛動物研究談話会にて口頭発表した。現在、本種の記載、および炭素窒素同位体分析による本種の食性分析の結果を併せて、原著論文として国際誌への投稿原稿を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の異動により、当該課題を申請時点とは異なる研究室(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室)での実施することとなった。イソギンチャクの標本作成には、一時的に生物を飼育するための設備が必要であるが、所属研究室には海産動物を飼育する設備がなく、また令和5年7月まで所属研究室の拡張工事が行われており、その間は本課題に必要な研究環境を整えることができなかった。試料が手に入った場合でも分類学的分析に耐えうる精度の標本を当初予定していたペースで作成することができなかったため、課題への着手が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度から研究代表者は国立科学博物館に異動した。さらには複数の水族館との共同研究関係を結ぶことができたため、数多くの状態の良い試料が手に入る見込みがある。今後は分類学的分析に耐えうる精度で保存することができると期待でき、所属研究室の設備を活用しつつ、スムーズに標本の作成・観察・分析を実施できる。
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