研究課題/領域番号 |
23K14003
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹内 綾 近畿大学, 農学部, 助教 (00895659)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ニホンウナギ / メチル化 / 産卵 / 環境DNA / 産卵行動 |
研究開始時の研究の概要 |
環境DNA法は産卵場の探索に使われているが、環境DNA放出源が定かでなく、産卵や群れ形成などをひとまとめに産卵行動として検知しているに過ぎない。本研究ではメチル化というDNAの修飾情報を用いて生殖細胞を検出することにより、環境DNA放出源が生殖細胞だと明示できる産卵場探索技術を新たに確立する。まず1.親魚、仔魚、卵、精子におけるメチル化修飾の違いを基に生殖細胞を検出するための系を検証・確立する。次に2.水槽実験、3.野外適用を行い、ウナギの産卵行動検知における本検出系の有用性を実証する。以上より、環境DNA法による正確な産卵行動の検知を実現させる。
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研究実績の概要 |
ここ10年間、飛躍的進歩を遂げている環境DNA法は、水や土壌などに存在する生物由来のDNAを検出することにより、生物の在不在を調べることができる。しかし、環境DNAの放出源が定かでないため、環境DNA法は生物の発育段階や年齢を知ることができない。そこで、本研究では、DNA塩基のメチル化に基づいて魚類の産卵行動を正しく検知できる環境DNA法を確立することを目的とした。2023年度は主に下記2つの予備的な実験と解析を行った。 (1)ニホンウナギ組織からのDNAメチル化データの取得:飼育をしたニホンウナギの親魚、仔魚、精子、卵の組織からのDNAメチル化データを取得するため、ライブラリを調製するプロトコルを試行錯誤した。卵から抽出したDNA量が極めて少なかったため、DNA抽出方法を一部変更することで対応した。 (2)メチル化データのバイオインフォマティクス解析:バイオインフォマティクス技術を用いて、(1)で得られたメチル化データの解析を試みた。原著論文や書籍、無料で公開されているソフトウェアのマニュアルを参考に予備的な解析を行った。この結果、親魚、仔魚、精子、卵の4つの発育段階において、メチル化の割合や部位が異なる可能性が見出された。ただし、マッピング効率やバイサルファイト変換効率を向上させるため、ライブラリ調整から再度やり直す必要がある。また、得られたメチル化データの可視化に課題が残った。今後、これらの問題を解決することにより、DNA塩基のメチル化を利用したバイオマーカーの探索に着手できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属先が変更になったため、実験の進捗が遅れているが、外部委託を利用することにより研究計画の一部を開始できた。研究活動全体としては順調であり、ウナギ属とクロアナゴ属の成長速度を比較した成果が英文誌に公表された。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ウナギの親魚、仔魚、精子、卵の解析個体数を増やし、信頼性の高いメチル化データを得たのち、環境DNA用のマーカーを探索する予定である。また、バイオインフォマティクス技術を用いる際に、数パターンで解析をし、それらの結果を比較してみる予定である。
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