研究課題/領域番号 |
23K14005
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
宮本 隆典 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (20874522)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 魚類行動 / 画像処理 / 魚群探知機 / 機械学習 / ビッグデータ / 魚群行動 / 変化検知 |
研究開始時の研究の概要 |
海中の魚群行動の把握は、海洋生物の保護、効率的かつ環境に優しい漁業の実現のために重要であるが、海中において長期間収録したデータの解析にはいまだ困難な点が多い。そこで本研究では、画像処理・変化検知・機械学習を用いた魚群行動ビッグデータの解析基盤構築を行う。海中における魚群の出現頻度に着目し、画像処理・変化検知技術を用いた大規模収録データ中における魚群出現候補区間の絞り込み手法を構築する。絞り込みにより学習のためのラベル作成効率を大幅に向上させ、大量の正解ラベルの効率的な作成を実現する。この手法により作成した大量のラベルにより機械学習モデルを構築することで、高精度な海中魚群行動解析を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究は、海中において長期間収録したデータを効率的に解析する手法の構築を行うものである。本年度は、(i)画像処理技術を用いた動画中魚群出現区間の検出、(ii)機械学習技術を用いた魚類遊泳動態の解析、(iii)超音波計測データに基づく魚類の検知、を行った。 (i)光量や濁度などの環境変動が大きく、魚群の出現頻度や出現魚種の変動が大きい海中における水中撮影映像の自動解析手法の構築のために、画像処理手法の1つであるエッジ検出を用いた魚群出現検知の有効性を検証した。定置網内で撮影した画像中における魚群の有無により検出されるエッジの量が異なる傾向にあることを確認し、動画における魚群出現区間の絞り込みにエッジ検出が有効であることを確認した。 (ii)深層学習をベースとしたソフトウェアであるDeepLabcutを用いて、水槽内を遊泳する魚類の遊泳動態解析の効率化について検討した。DeepLabCutにより160枚のラベル付き画像から43万枚の画像の尾鰭や吻端などの魚体各部位の軌跡抽出が可能となり、機械学習技術の活用による魚類遊泳行動解析の効率化の可能性が示された。 (iii)定置網用魚群探知機の画像における魚群反応を数値化し、箱網における漁獲量との関係を検討したところ、両者に有意な相関が認められた。また、MHz帯の高周波超音波による魚類検知の有効性についても検討し、高周波超音波の利用により1魚体の検知が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海中における撮影動画における魚群の出現区間の絞り込みに、画像処理手法の1つであるエッジ検出が有効であることを確認した。また、機械学習技術により水槽内を遊泳する魚類の各部位の振動軌跡の自動抽出が可能となり、魚類遊泳行動解析の効率化に機械学習技術の利用が有効であることを確認した。カメラによる撮影動画だけでなく、魚群探知機および超音波画像に基づく魚類の自動検知が可能であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
エッジ検出により動画中における魚群の出現区間の絞り込みが可能であることを確認したが、海面における光の散乱や網などが画像中に映り込んだ場合にもエッジが検出され、魚群の検出精度が低下する要因となっていた。そこで、エッジ以外の画像特徴量も利用し、魚群自動検知の精度向上を図る。魚類遊泳行動の解析について、魚体各部位の軌跡データに基づいた行動解析手法の構築に取り組む。カメラによる撮影映像および魚群探知機、超音波画像に基づく魚種判別にも取り組む予定である。
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