研究開始時の研究の概要 |
ニホンウナギは産卵のため, 河川から遠洋の産卵場まで, 数千kmもの距離を絶食しながら泳ぐため, 成熟個体の栄養状態は一生に一度の繁殖の成否に直結する. 近年, ニホンウナギの餌資源として, 水生動物だけでなく陸生動物も重要であることが示されつつあり, 河川流域の森林などの陸域環境が本種の繁殖成功度を大きく左右する可能性が示唆されている. そこで本研究は, 日本全国の河川で採捕された本種の産卵回遊開始個体(銀ウナギ)の栄養状態・成長履歴と, 河岸環境の自然度を表す様々な指数との関係性を調べることで, 「流域の豊かな森林や水辺の環境が本種の成熟時の栄養状態を高める」という仮説を検証する.
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