研究課題/領域番号 |
23K14020
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
呉 海云 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70802065)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バイオセンサ / 魚類 / ストレス / グルコース / 行動パターン |
研究開始時の研究の概要 |
魚類のストレス応答測定では,ストレスによる体内の指標化学物質(生理学的指標)の変動と,行動パターン(行動学的指標)の変動を各々個別に測定しているため,両者が関連した複合的な応答についてはほとんど知られていない.そこで本研究では,生理学的指標を測定するためのバイオセンサと,行動学的指標を測定するための物理センサを一つの電子回路上に集積した「新たなストレス応答を知る」ためのハイブリッドバイオセンサを構築する.このシステムを用いて,魚を遊泳させた状態で様々なストレッサーを魚体に負荷し,両指標値を同時にモニタリングして測定値を網羅的に解析することにより,新たなストレス応答の機構を解明することを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,生理学的指標を測定するためのグルコース測定用バイオセンサと,行動学的指標となる行動パターン測定用物理センサを新規に製作し,両指標の変動を同時にモニタリングできるハイブリッドバイオセンシングシステムを構築することを目的とする.今年度は,魚が遊泳した状態でその生理学的指標と行動学的指標の変動をモニタリングすることを実現するため,以下の研究を行った. まず,生体内のグルコース(生理学的指標)を測定するために,グルコースオキシダーゼを魚の体に柔軟にフィットするフレキシブル電極に固定化し,魚体内に留置可能なバイオセンサを設計・製作した.このセンサは,魚の血糖値の変動をリアルタイムで高精度に測定できるように設計されており,さらに魚の素早い動きにも対応できるように,センサの固定方法や形状を改良して安定した測定を実現した. 次に,魚の行動パターン(行動学的指標)を測定するために,市販の多軸ジャイロモジュールを応用したウェアラブルな物理センサを設計・製作した.このセンサは,水中での魚の動きに対応できるように設計され,魚体に装着しやすく,遊泳運動への影響が少ない小型軽量な構造を有している.また,魚の動きを妨げないようにするために,センサの取り付け位置や固定方法について詳細な検討を行い,最適化を図った. さらに,上記の両センサから収集したデータを統合的に解析するシステムを構築した.データ収集には,センサからの信号を処理・解析するための専用プラットフォームを開発し,魚の生理学的指標および行動学的指標の変動を同時に定量的に評価するための基盤を整備した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,生理学的指標を測定するためのグルコース測定用バイオセンサの開発が進んだ.当センサは魚の血糖値をリアルタイムで高精度に測定できるほか,魚の素早い動きにも対応できるように,センサの固定方法や形状を改良し,安定した測定を実現した.これにより,生理学的指標の正確なモニタリングが可能となり,研究の基盤が確立された. 次に,行動学的指標を測定するためのウェアラブルな物理センサの開発も進んだ.当センサは水中での魚の動きに対応できるように設計されており,魚体に装着しやすく,遊泳運動への影響が少ない小型軽量な構造となっている.これにより,行動学的指標の精確な測定が可能となり,魚の行動パターンの解析に必要なデータが確実に収集できるようになった. さらに,上記の両センサから収集したデータを統合的に解析するシステムの構築にも成功した.データ収集には,センサからの信号を処理・解析するための専用プラットフォームを開発し,魚の生理学的指標と行動学的指標の変動を同時に定量的に評価するための基盤を整備した.両指標のモニタリングが可能となったことで,魚の生理状態と行動パターンの関連性を詳細に解析することができ,ストレス反応や環境適応能力のメカニズムを解明するための重要なデータが得られるようになった. このような技術的進展により,研究の目的達成に向けた重要な進展が見られたため,研究の進捗はおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,以下の計画にしたがって研究を遂行する. 1. マルチチャンネル無線送受信機の設計・製作とシステム構築:実際の水中測定環境に対応したマルチチャンネル無線送受信機の設計・製作を行う.まず,センサと送信機のフレームワークを製作し,前年度に製作したバイオセンサと物理センサを送信機の回路に組み込む.このプロセスにより,生理学および行動学的指標の同時測定が可能なバイオセンシングシステムを構築することを目指す.このシステムは,魚類の生理学的変化や行動パターンを詳細に観察し,記録するための基盤を提供する.また,設計段階では,水中環境での耐久性や防水性能も考慮し,長期間の使用に耐えられるようにする. 2. サンプリングと通信の最適化:最適なサンプリングレートやサンプリング時間を検討し,リアルタイムでグルコース濃度と行動パターンを測定するオンラインシステムを実現する.サンプリングレートの調整により,データの精度とバッテリー寿命のバランスを最適化する.また,水中の様々な環境下における通信状態を確認し,送受信システムの最適化を行う.これには,通信プロトコルの改善やアンテナ設計の改良が含まれる.特に,異なる使用条件での通信性能をテストし,信号の安定性を確保するための対策を講じる. 3. システムの小型化・軽量化と最適使用条件の検討:魚体に装着する際のシステムの最適使用条件を検討し,システム全体の小型化・軽量化を図る.これにより,魚の自然な動きを妨げない設計を目指す.これには,実際に魚に装着しての行動観察や,影響を最小限に抑えるための設計改良が含まれる. これらの研究を通じて,魚類に特化したハイブリッドバイオセンシングシステムを完成させることを目指す.
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