研究課題/領域番号 |
23K14021
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
小祝 敬一郎 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (10867617)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | シングルセル / scRNA-seq / 血球細胞 / マーカー遺伝子 / 無脊椎動物 / 免疫細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
魚病対策には種ごとに異なる免疫機構を研究することが必須である。scRNA-seq技術を海産無脊椎動物に適用範囲を広げることで、①海産無脊椎動物の免疫担当細胞の細胞解析ツールを充実させる。さらに、②マーカー遺伝子を細胞レベルで解析するための研究手法を確立することを本研究の目的とする。
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研究実績の概要 |
日本は諸外国と比べて多くの種類の魚介類を養殖している。しかしながら養殖現場では、それぞれの種特有の魚病問題が発生している。魚病対策には種ごとに異なる免疫機構を研究することが必須である。ヒトをはじめとする哺乳類には免疫担当細胞を分類し、挙動の追跡を可能とするマーカーが豊富に存在する。一方で、養殖魚介類では細胞マーカーの報告は極めて少なく細胞解析用のツールが乏しい。なかでも、水産無脊椎動物は体内浸透圧が高いことや、培養細胞株が存在しないこともあり、細胞を解析するための手法自体の報告も少ない。 シングルセルレベルでのトランスクリプトーム解析 (scRNA-seq) からは、転写産物に基づいた細胞の分類が可能であり、さらに各細胞群のマーカー候補遺伝子や細胞分化経路を推定することができる。 そこで、申請者がこれまでクルマエビ類を対象に培ってきたscRNA-seq技術を他の海産無脊椎動物に適用範囲を広げることで、①海産無脊椎動物の免疫担当細胞の細胞解析ツールを充実させる。さらに、②マーカー遺伝子を細胞レベルで解析するための研究手法を確立することを本研究の目的とした。 2023年度は、クルマエビ類3種、ナマコおよびエゾアワビの血球細胞のscRNA-seqデータの取得に成功した。これらデータのバイオインフォ解析も完了しており、それぞれの細胞集団のマーカー遺伝子候補の選定も進んでいる。次年度は、これら遺伝子の発現解析を進めるとともに、より広域な生物からのデータ取得を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標にしていた通り、複数種類の海産無脊椎動物の免疫担当細胞を解析することに成功した。さらに、Drop-seq以外にもMGI社のシングルセル解析キットを使用し、データが取得できることを確認した。これは市販品のため、今後はより簡便なデータ取得が期待できる。 上記の結果は、学会発表も行うことができており、当初の計画通り順調に研究は進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
すでにデータを取得している種については、細胞集団を定義するマーカー遺伝子を選定し、in situ hybridyzaionによるマーカー遺伝子としての評価を実施する。さらに、クルマエビ類のような近縁種に関しては、遺伝子の相同性を加味した解析を実施することで種ではなくより広範囲でのマーカー遺伝子の選定に努める。 また、現在実施してるDrop-seqでは、遺伝子の検出感度が不足する場合もあるため、ライブラリー調整に工夫をし、細胞毎の遺伝子検出感度の向上を目指し、相対的に低発現の遺伝子の検出にもチャレンジする。
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