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魚独自の視覚路の進化で脳の何が変わったのか

研究課題

研究課題/領域番号 23K14022
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分40040:水圏生命科学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

萩尾 華子  名古屋大学, 高等研究院(農), 特任助教 (80848309)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード視覚 / 神経回路 / 魚 / 脳の発達 / マハゼ / シクリッド / 脳
研究開始時の研究の概要

学術や水産業界での魚の視覚への関心が高いが、視覚情報処理に関する知見が少ない。申請者は、魚は進化の過程で脳内視覚路が2つから1つになった可能性が高いと示してきた。魚の網膜や中脳視蓋の視覚機能はわかりつつあるが、間脳や大脳の視覚機能は未解明で、視覚路の数に着目した研究は皆無である。脳の視覚領域の発達度合も魚種によって異なるがその理由も不明である。本研究は、進化の過程で視覚路が2つから1つになって脳の何が変わったのか?に迫る。視覚機能について種間比較を行い視覚路が2つか1つかに関連はあるかを明らかにする。得られる知見は、類似した脳形態をもつ魚種の視覚を利用した漁獲法や給餌法等への活用が期待できる。

研究実績の概要

魚は進化の過程で網膜から大脳への視覚路が2つから1つになった可能性をこれまでの研究で発表してきた。視覚路が2つである魚と1つである魚の間脳視覚中継核と大脳視覚領域の発達レベル、機能レベルを調べて比較し、間脳中継核と大脳の視覚機能の違いがあるかどうかを明らかにする。魚種による脳の発達度合や機能の類似や違いが視覚路が2つか1つかに関連があるかどうかを明らかにすることを目的とした。
令和5年度は、視覚路が2つである魚と1つである魚の間脳中継核と大脳視覚領域の脳構造と神経連絡の発達度合を調べた。視覚路が2つである魚の間脳から大脳視覚領域への神経投射については、間脳の領域ごとに神経投射している大脳視覚領域に違いがある可能性が示唆されたが、はっきりした結果は得られなかったため、引き続き神経投射を調査する必要がある。視覚路が1つである魚では、間脳の領域ごとに神経投射している大脳領域には違いがあり、異なる種類の視覚情報を処理している可能性が示唆された。視覚路が1つで認知能力がかなり高い魚の間脳から大脳視覚領域への神経投射も明らかになりつつある。大脳内で複雑な視覚回路が存在することも示唆された。そして、魚独自の視覚回路の進化を解明する上で重要な位置で出現したウナギの脳や視覚などを調べて分担執筆した著書Eel Scienceが出版された。次年度で行う予定の間脳中継核の消失前と後の行動変化や大脳ニューロンの応答の変化を調べる実験に向けて予備実験も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

視覚路が2つである魚と1つである魚の間脳視覚中継核と大脳視覚領域の脳構造と神経連絡の発達度合を調べ、いくつかの結果が得られた。視覚路が2つである魚の間脳から大脳視覚領域への投射については、間脳の領域ごとに神経投射している大脳視覚領域に違いがある可能性が示唆されたが、さらに調査が必要である。視覚路が1つである魚では、間脳の領域ごとに異なる大脳領域に神経投射し、異なる種類の視覚情報を処理していることも明らかになり、計画通りに進んでいる。次年度で行う予定である様々な視覚刺激をモニター画面に投影し、視覚刺激に対する行動を観察する方法をいくつか試したり、適した視覚刺激の探索を始めたりなど、次年度に向けて課題も見つかり、備えることができた。以上の進行状況は、当初の計画通りである。

今後の研究の推進方策

視覚路が2つである魚と1つである魚の間脳視覚中継核から大脳視覚領域への神経投射について得られた結果をふまえてさらに調べる。間脳中継核の消失前と後の行動変化や大脳ニューロンの応答の変化を調べる実験に向けて、魚の新しい系統を樹立させる必要があり、それらの系統作製を行う。それらの系統を用いて、様々な視覚刺激をモニター画面に投影し、視覚刺激に対する行動を観察するための実験系を確立する。そして、大脳のニューロン活動をイメージングする。1つの視覚路をもち遺伝子改変が困難な魚に対しては、神経活動マーカーに対する抗体を用いた免疫組織化学を行い、応答したニューロンを特定する実験に着手する。間脳中継核と大脳の特定領域が応答する視覚刺激の数や種類などを調べ、間脳と大脳の視覚機能の解明を目指し、日々研究に励む。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Specialization of compartments of the Dl, a visual telencephalic part, in gobies during evolution and the visual feedback system though the higher order visual center and cerebellum in teleost.2023

    • 著者名/発表者名
      Hagio H, Yamamoto N.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] A little weird ascending visual pathways to the telencephalon in the Japanese eel.2023

    • 著者名/発表者名
      Hagio H, Watanabe K, Yamamoto N.
    • 学会等名
      J.B. Johnston Club for Evolutionary Neuroscience Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] Senses and Nervous System. In “Eel Science“ Editors: Tsukamoto K, Kuroki M, Watanabe S.2023

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto N, Hagio H.
    • 総ページ数
      318
    • 出版者
      Springer
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 名古屋大学 研究者総覧 萩尾華子

    • URL

      https://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/html/100011022_ja.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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