研究課題/領域番号 |
23K14034
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東口 阿希子 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (90804188)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 条件不利地 / リスク選好 / 集団防除 / 不確実性 / 農家 / 鳥獣害 |
研究開始時の研究の概要 |
人口と耕作者が減少する社会縮減下の条件不利地において,水利・基盤の条件の不良な農地も含めた広大な農地を集積する中核的水稲農家の収益性を担保する方策として,大規模農機の導入等によって新たな体制が構築されつつある収量低減リスク対策の集団化(病虫鳥獣害に対する集団防除)に焦点をあてる。収量低減リスク対策の集団化の実態,集団的な収量低減対策への農地所有者の選好,収量低減リスク対策の担い手となりうる条件の段階的解明を目的とする。
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研究実績の概要 |
野生鳥獣被害が深刻化する岡山県備前市において,デジタル技術を活用した野生動物の捕獲・出猟・被害対策情報の管理システムの新規導入が,狩猟者および農業者の被害対策負担と被害認識に及ぼす影響を把握するための,基礎的調査を実施した。まず,備前市および岡山県庁への聞き取りにより,行政の対策支援方針及び被害対策状況の概況,集落営農や日本型直接支払制度の取り組み状況を把握し,デジタル技術を活用した社会実験を行うモデル地域を選定した。次に,狩猟者への講習会を参与観察し,デジタル技術活用に際しての心理的・技術的障壁を把握した。また,モデル候補集落の中心的営農者らに対する聞き取り調査を実施し,野生鳥獣被害および営農の概況を把握した。 また,岡山県総社市の果樹農家を対象に,鳥獣被害および対策の状況の把握するための聞き取り調査,赤外線カメラによる被害のモニタリング調査を実施した。すでに技術が確立された病害虫とは異なり,樹高の高い果樹や傾斜地における有効な鳥類被害の防除対策は確立されておらず,収量の3割が1日にして喪失するほどの甚大な食害が確認され,収益の不確実性を高める大きなリスク要因であると認識されていた。高収入かつ労働集約的な営農形態のため,鳥獣害対策手法の選択においては,金銭的なコストよりも時間的なコストや実効性が優先されることが把握された。現行の対策として最も効果的なのは,鳥類のコミュニケーションを阻害する音声装置であるが,ランニングコストが高いことから継続的な利用は困難との意向が多いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度の途中で所属機関が変わったため,調査地との物理的距離が大きくなり,当初予定していた調査頻度が確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
岡山県備前市における社会実験の開始に先立ち,実験前の被害認識や対策への責任認知を把握するアンケート調査を実施する。また,協力が得られた集落での社会実験を開始し,デジタル技術を活用した鳥獣害対策の集団化の要因を把握する。 一方,京都府および滋賀県を対象に,大規模水稲農家や集落営農組織を対象とした聞き取り調査を実施し,集団的な収量低減リスク対策の実態と課題,農地集積選好と収量低減リスクとの関係を把握する。
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