研究課題/領域番号 |
23K14036
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
研究代表者 |
吉田 真悟 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (00848624)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 共通価値創造 / Creating Shared Value / コアコンピタンス / コーポレート・ガバナンス / デューデリジェンス / ガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
農業経営において,環境的及び社会的持続可能性に関する諸活動は,長期的なリスクの低減や市場機会の獲得に重要な役割を果たす。つまり,農業経営による社会課題の解決と経済性の両立という「共通価値の創造」(Creating Shared Value, CSV)の基礎的条件を解明することで,農業経営が持続的に発展するための理論モデルを構築し,新たな農業環境政策や地域金融制度の議論に資する知見を得ることができる。そこで,本研究ではCSVを達成する事業プロセスを事例分析から明らかにし,CSVの基礎となる組織の能力や文化,コーポレート・ガバナンスの条件を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
まず,農業経営の持続可能な活動が企業価値の創造に果たす役割を明らかにするため,農業法人に対する聞き取り調査を実施した結果をまとめた。その結果,法人が抱える経営課題の解決を目的とした持続可能な活動を行うことで,多様な経営資本の蓄積につながっていることが示された。さらに,こうした価値創造プロセスには経営者による人的ネットワークの活用や積極的な知識・スキルの習得が関連していた。 また,日本政策金融公庫および日本農業法人協会の協力により得られたデータを分析した結果,持続可能な活動は,ポストコロナ期の経済的ショックに対するレジリエンスを高め,さらに,多様な経営資本の改善を通じて売上の増加や利益率の向上に結び付くことを定量的に示した。都市農業を対象とした調査では,こうした持続可能な活動が農地の保全や後継者の確保にもつながっていた。農業法人の有機JAS認証の取得を対象とした研究によれば,認証のない有機農業を実施する法人よりも,認証を取得した法人の方が売上成長率や労働生産性が高いことが示された。 持続可能な活動の規定要因に関する研究では,コーポレート・ガバナンスによって従業員に対する活動が促進される一方で,地域や市民に対する活動が抑制されることが示された。この結果は,農業経営において,持続可能な活動を規定する要因は組織内の公式的な意思決定プロセス以外にもあることを示唆している。本テーマについては,2023年10月に日本農業法人協会とともに新たなアンケート調査を実施した。さらに,従業員のモチベーションやスキル,企業文化といったコアコンピタンスが持続可能な活動に与える影響を明らかにするため,アンケート調査にて農業法人の従業員に対する調査に関する追加調査の同意を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,課題①「農業経営に対する財務及びビジネスのデューデリジェンスによるCSVの事業プロセスの評価」で予定していた事例調査を実施し,比較分析を完了している。課題②「CSVとその基礎となるコアコンピタンス(組織能力や組織文化)の相互的な影響関係の評価」に関しては,農業法人による持続可能な活動が経営のレジリエンスや成長性,効率性に与える影響をアンケート分析から明らかにした。さらに,2023年10月に実施した日本農業法人協会とのアンケート調査によって,従業員に対する追加調査の同意を200件以上の法人から得ることに成功した。課題③「農業経営のガバナンスがCSVの継続性に与える影響の評価」については,農業法人のコーポレート・ガバナンスと持続可能な活動との関係を明らかにするために,日本農業法人協会のアンケート調査結果を活用し,コーポレート・ガバナンスと活動の間にはシナジーやトレードオフがあることを示した。さらに,本テーマについては,2023年10月に日本農業法人協会とともに新たなアンケート調査を実施し,データを回収済みである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,まず,課題①「農業経営に対する財務及びビジネスのデューデリジェンスによるCSVの事業プロセスの評価」について,成果をプレスリリースや書籍といった形での公表を予定している。課題②「CSVとその基礎となるコアコンピタンス(組織能力や組織文化)の相互的な影響関係の評価」については,農業法人の従業員に対するヒアリング調査を開始し,アンケート調査の設計および調整を行う。課題③「農業経営のガバナンスがCSVの継続性に与える影響の評価」については,すでにデータ分析が完了したものについては国際誌への投稿を予定している。さらに,2023年度に回収したアンケート調査結果の分析も行う。 2025年度は,課題②については,農業法人の従業員に対するアンケート調査を実施し,データ分析を行う。課題③については,データ分析の結果を国際誌に投稿する。 2026年度は,課題②について,データ分析の結果を国際誌に投稿する。また,課題①~③の結果をとりまとめた結果を社会に発信するためのセミナーやプレスリリースを検討する。
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