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水田地帯における効果的な外来両生類の管理にむけたメタ個体群理論の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K14055
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分41050:環境農学関連
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

中島 直久  帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (20869953)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード音声自動判別 / 深層学習 / 外来種 / メタ個体群 / 水田生態系 / カエル類 / メタ個体群動態 / リモートセンシング技術 / 自動識別 / 生息分布モデル
研究開始時の研究の概要

北海道の国内外来種トノサマガエルとトウキョウダルマガエルは拡大抑制が課題であるが局所的な対策のみで成功事例はない。外来両生類の地域的な管理手法の確立には,メタ個体群動態の枠組みを利用して景観スケールで種が存続するメカニズムを評価する必要がある。本研究は,水田地帯に拡散した両種のメタ個体群モデルの構築と検証を目的とした。そのため,(1)鳴声データから機械学習によって生息分布を算定し,(2)鳴声検出率などにかかわる不確実性を考慮した階層ベイズ推定法によるモデル構築を行い,(3)市民調査等の長期の種出現データを用いてモデル検証を実施する。本フレームワークは他の外来両棲類への拡張も期待される。

研究実績の概要

本研究は北海道に移入した国内外来種であるトノサマガエルとトウキョウダルマガエルの2種を対象に(以下本種),メタ個体群動態の枠組みを利用して景観スケールで種が存続するメカニズムを評価する。そのためには広域調査を時空間的に密に行う必要性から,項目1:両種の鳴き声データから深層学習によって在不在の自動判別を行い,項目2:鳴き声検出率などにかかわる不確実性を考慮にいれた生息分布モデルの構築を行い,項目3:市民調査などによって得られた長期の種出現データを用いてモデル検証を実施する。このうち,2023年度では項目1を実施した。
北海道空知及び石狩地域管内における水田地帯約1,000km2から計104地点を選定した。2023年6月1日~7月20日にICレコーダ(DR-05,TASCAM社製)を用いて20時~24時で環境音を録音した。既報ではニホンアマガエルが同所する場合,鳴き声の周波数帯が重複することから,トノサマガエル属の鳴き声判別は精度が落ちることが示されている。本研究では重複の少ない250~1000Hz帯を抽出してノイズフィルタ(pythonのnoisereduce3.0.0パッケージ)を実施した。教師データは3地点の音源から両種の鳴き声600セグメント(1セグメント0.5秒)と背景音600セグメントを用いた。自動判別には転移学習モデルVGGishを利用し少ない教師データでも精度を上げることを試みた。結果として,正解率83%,再現率88%の十分な精度の深層学習モデルを構築した。学習済みモデルを用いて104地点の音源データから両種の鳴き声を検出した結果,既報の調査データがある地域における本種の確認情報はおおかた予測と一致していた。くわえて,本解析によって従来の調査範囲を大幅に超えて本種の存在が確認された地域を特定することに成功し,広域における本種の生息調査手法を確立することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度目標となるトノサマガエルとトウキョウダルマガエルの鳴き声の自動判別モデルを構築することができた。しかし衛星画像による土地利用状況等の推定には至っていない。2023年度は自動判別モデルの精度向上に集中し,ニホンアマガエルの鳴き声による雑音の低減手法などを考案し,実際のフィールド音源を用いた種の自動判別モデルが構築できた。

今後の研究の推進方策

2024年度は従来通りの鳴き声データを収集し,本種の分布状況を把握する。それとともに,生息分布モデルを作成し,パッチ上に広がる本種メタ個体群のソースとシンクを空間的に明らかにすることに取り組む。衛星画像からNDVIやNDWIなどの光学的指標を用いて土地利用の状況を把握する。北海道では水田の多くが畑作に転換されており,その経年変化を明らかにする。生息分布とそれらの土地利用の変遷過程の関係を解析することで,移入種の分散過程やメタ個体群動態について考察する。くわえて本種の鳴き声の自動判別精度を著しく下げるニホンアマガエルによる鳴き声の,学習モデルへの影響を解析する。昨年度構築した学習済みモデルの方法では教師データを作成する際に,ニホンアマガエルの鳴き声の周波数帯と被らない領域のみを抽出した。今年度はその方法と同時に,教師データにさまざまな本種とニホンアマガエルが同時に鳴いているパターンを学習させ,モデル精度の比較検討を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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