研究課題/領域番号 |
23K14064
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 翔 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任准教授 (50829223)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 交尾刺激 / 発情行動 / キスペプチン / AVPV / 頸管刺激 / LHサージ / シバヤギ / 排卵中枢 / 交尾排卵 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、哺乳類の雌の発情期において交尾と排卵を協調させる神経メカニズムを解明することである。本研究では、交尾刺激によって脳内の排卵中枢キスペプチンニューロンが活性化すること、さらに排卵を誘起する黄体形成ホルモン(LH)のサージ状分泌に及ぼす影響を検討し、交尾刺激が排卵中枢を活性化する神経メカニズムを明らかにする。LHサージに必要不可欠なキスペプチンニューロンを上位で制御する神経ネットワークに着目し、交尾刺激に応答してLHサージを制御するニューロンをモデル動物のラットで同定する。さらに、遺伝子改変ラットや家畜モデルのヤギを用いて同定した交尾応答ニューロンの機能解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、哺乳類の雌の発情期において交尾と排卵を協調させる神経メカニズムを解明することである。 これまでに、交尾の際に雌ラットの脳内で活性化する領域をニューロンの活性化マーカーであるc-Fosの免疫組織化学により検索したところ、これまでに報告されていた腹内 側核、扁桃体、乳頭体前核、分界条床核等に加えて前腹側室周囲核(AVPV)が交尾刺激により活性化することが明らかとなった。また、排卵中枢と知られているAVPVキスペプチンニューロンが交尾刺激により活性化するかKiss1遺伝子およびc-Fosとの二重染色により明らかにしたところ、AVPVキスペプチンニューロンは交尾中の雄の陰茎による子宮頸管刺激によって活性化することが示唆された。 本年度は、子宮頸管への物理的刺激がAVPVキスペプチンニューロンを活性化するか、頸管刺激デバイスを用いて発情前期モデルの雌ラットの頸管を人為的に刺激したところ、交尾刺激を受けた際と同様にAVPVキスペプチンニューロンが活性化することが明らかになったま。次に、人為的な子宮頸管刺激(VCS)がLHサージに及ぼす影響について発情前期モデルの雌ラットを用いて検討したところ、VCSによってLHのサージ状分泌が劇的に増強されることを発見した。また、VCSが排卵数に及ぼす影響について発情前期の雌ラットを用いて検討したが、対照群とVCS群の間に有意な差は認められなかった。現在、VCSによるLHサージ増強効果がキスペプチンニューロンを介して起こるか、あるいは他のニューロンがGnRHニューロンに作用することにより起こる現象かKiss1 KOラットを用いて検討している。 また、シバヤギを用いてVCSの効果が種を超えて保存されているか検討した。発情期モデルのヤギにVCS処置を施し、LHサージを解析したところ、ヤギにおいてもVCSによりLHサージが増強されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮頸管への物理的刺激がAVPVキスペプチンニューロンを活性化すること、その刺激によってLHサージが増強されることを明らかにすることができたため。また、VCSのLHサージ増強効果がヤギにおいても認められることを明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、Kiss1 KOラットを用いて、VCSがキスペプチンニューロンを介してLHサージを増強するか明らかにする計画である。また、VCSがどのような経路でキスペプチンニューロンを活性化するかについても組織学的解析を進めることによって明らかにする計画である。ヤギにおいては、VCSがヤギの排卵中枢である視索前野(POA)キスペプチンニューロンを活性化するか組織学的に解析を進める計画である。
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