研究課題/領域番号 |
23K14075
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 凡子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (60967339)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 犬膀胱癌 / IDO / 犬 / 腫瘍 / がん免疫療法 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
獣医療の進歩により、人と同様に犬の高齢化が進み、悪性腫瘍が死亡原因の第 1 位となっている。 特に犬の膀胱癌は、テリア系犬種など、国内で飼育頭数の多い小型系犬種で好発し、発生数が多い。犬膀胱癌は転移能が高いため、手術による切除を行っても肺やリンパ節への遠隔転移が必発するが、未だ効果的な全身療法が無く、発症後 1-2 年以内に多くの症例が亡くなってしてしまう。 そこで本研究では、犬膀胱癌に対する新たな全身療法として、がん免疫療法の開発を目指して、犬の膀胱癌に対するIDO阻害薬・PD-1/PD-L1阻害薬の併用療法の検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、申請者が開発してきた犬膀胱癌に対する新規がん免疫療法薬であるIDO1阻害薬と既存のがん免疫療法薬である免疫チェックポイント阻害薬(抗PD1/PDL1抗体)との新規併用がん免疫療法について、犬膀胱癌細胞株を用いた前臨床研究により、その併用効果を実証することを目的とした研究に取り組む。 まず、腫瘍微小環境において抗腫瘍T細胞からの攻撃を受けた際の犬膀胱癌における耐性機構を探索するために、犬膀胱癌細胞株3株(Sora, TCCUB,LOVE)に対して抗腫瘍T細胞サイトカインであるインターフェロンγを添加した際の遺伝子発現の変化をRNAシークエンス法により解析した。その結果、インターフェロンγ添加群ではコントロール群に比べて、免疫関連分子発現の変化など、インターフェロンγ応答を確認できた。さらに、当初の仮説を肯定する結果として、犬膀胱癌3株に共通して、IDO1およびPD-L1の顕著な発現の増強を認め、その変化はいずれの細胞株においても発現増加遺伝子の上位10遺伝子以内に入っていた。さらにそれら結果について、qPCRおよびFACSを用いて検証を行い、mRNAおよびタンパクレベルでも有意な変化があることの確認が得られた。したがって、今年度の検証により、本研究の基本コンセプトの確証が得られたことから、今後は、犬膀胱癌細胞株と犬免疫細胞を用いたin vitro共培養系やin vivoモデルでの検証を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基本コンセプトの確証が得らるなど、基礎的な検証が進み、本研究仮説に沿った結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の基本コンセプトの確証が得られたことから、今後は、in vitro共培養系やin vivoモデルでの検証を進める。具体的には、犬膀胱癌細胞株と犬免疫細胞の共培養系を作成し、IDO1阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬(抗PD1/PDL1抗体)を添加した際の抗腫瘍サイトカイン産生能について、qPCRやELISA法にて検証を行う。さらに、犬免疫細胞を移入した重度免疫不全NOGマウスに、犬膀胱癌細胞株を移植したのちにIDO1阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬(抗PD1/PDL1抗体)の投与を行い、腫瘍径の変化を観察し、併用効果について検証を行う。
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