研究課題/領域番号 |
23K14080
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小畠 結 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (00805442)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 犬 / 変性性脊髄症 / SOD1 / 筋萎縮性側索硬化症 / 金属イオン |
研究開始時の研究の概要 |
イヌの変性性脊髄症は慢性進行性の脊髄変性疾患であり、スーパーオキシドジスムターゼ 1 (SOD1) 遺伝子の変異が原因と考えられている。変異型SOD1蛋白質は構造安定性が低く、凝集体を形成しやすい。神経細胞に変異型SOD1蛋白質凝集体が蓄積した場合、様々な細胞小器官障害が惹起され、神経細胞障害が生じる。これまでの研究成果から、金属イオンは変異型SOD1蛋白質の構造安定性において中心的な役割を担っている可能性が高いと考える。 本研究では、銅および亜鉛イオンの添加がイヌの変異型SOD1蛋白質の凝集体形成に与える影響を明らかにし、変性性脊髄症の新規治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
リコンビナント蛋白質を用いたヒスチジン銅の添加による変異型SOD1蛋白質凝集性の評価、および培養神経細胞を用いたヒスチジン銅の添加による変異型SOD蛋白質凝集体の評価を実施した。 まずは、犬変異型SOD1プラスミドを導入した大腸菌を用いてリコンビナント変異型 SOD1蛋白質を作製した。作製したリコンビナントSOD1蛋白質にヒスチジン銅を添加し、示差走査蛍光定量法により変性中点を解析したところ、いずれの添加濃度においてもリコンビナント変異型SOD1蛋白質の変性中点が添加前と比較して高くなることが明らかとなった。この結果から、ヒスチジン銅の投与により犬変異型SOD1蛋白質の熱構造安定性が高くなり、凝集性が低下する可能性が示された。 続いて、変異型SOD1プラスミドをリポフェクション法により導入した培養神経細胞 (変性性脊髄症モデル細胞) にヒスチジン銅を添加し、細胞内に発現した変異型SOD1蛋白質凝集体量の変化を明らかにした。凝集体量は免疫蛍光染色およびウエスタンブロッティングにより評価した。いずれの実験系においても、ヒスチジン銅添加前と比較してヒスチジン銅添加後の方が、変異型SOD1蛋白質凝集体量が減少することが示された。また、免疫蛍光染色の結果から、凝集体形成率が野生型SOD1蛋白質と同等にまで低下することが明らかとなった。 本年度の研究成果から、ヒスチジン銅が変異型SOD1蛋白質凝集体の形成を抑制することで、変性性脊髄症の進行を抑制する効果を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通りCuイオンの添加により変異型SOD1蛋白質凝集体の形成を抑制された。
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今後の研究の推進方策 |
同様の手法を用いて今後は酢酸亜鉛を用いた研究を実施する。
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