研究課題/領域番号 |
23K14086
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
古澤 悠 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 助教 (30791793)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 上皮間葉転換 / 腫瘍微小環境 / 犬 / 猫 / 腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、犬と猫の癌で起こる上皮間葉転換が癌の浸潤・転移にどのように関与するのかを明らかにすることを目的とする。上皮間葉転換は、上皮系細胞から間葉系細胞に形質転換する現象であり、癌の浸潤・転移において重要な役割を果たすため、近年新たな癌の診断・治療ターゲットとして注目されている。本研究では、犬と猫の癌で起こる上皮間葉転換の分子メカニズムの相違を解明し、さらには上皮間葉転換を予測できるバイオマーカーの開発に挑む。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、犬と猫のがんで起こる上皮間葉転換の分子メカニズムの相違を解明し、さらには上皮間葉転換を予測できるバイオマーカーの開発を行うことである。上皮間葉転換には、様々な分子メカニズムが関与する。本研究では、まずがんと診断された犬と猫の病理組織検体を用いて免疫組織化学的解析を行う。解析は、上皮系マーカーであるE-カドヘリン、サイトケラチンおよび間葉系マーカーであるビメンチン、N-カドヘリンなどについて行う。これらの分子の発現、共発現および消失を酵素抗体法ならびに多重蛍光抗体法を用いて、犬と猫の悪性腫瘍における上皮間葉転換の発現を解析する。これにより、上皮間葉転換の動物種での違いや、がんの種類、がんの悪性度との関連性を明らかにする。さらに、上皮間葉転換の発現の有無や程度と各症例における病期の進行を回顧的に検証し、上皮間葉転換の発現と各症例の予後との関連性を統計学的に調査する。当該年度は、主に肺癌症例の病理組織検体を使用して上皮間葉転換の発現を解析した。その結果、上皮間葉転換の発現と腫瘍の進行・予後が一致しない症例も認められた。そのため、上皮間葉転換に関するマーカーだけではなく、上皮間葉転換の発生母地である腫瘍微小環境に関するマーカーを同時に調べることとした。腫瘍微小環境には、腫瘍関連線維芽細胞(CAF)や腫瘍関連マクロファージ(TAM)、腫瘍関連好中球(TAN)、CD8+T細胞、線維芽細胞増殖因子(FGFs)などといった多種多様な因子が存在し、腫瘍細胞と相互作用して存在しているとされている。腫瘍微小環境マーカーを標的とした免疫組織化学的解析を行うことで、上皮間葉転換こととした。今後は、腫瘍微小環境マーカーと上皮間葉転換マーカーの発現の変化に関して研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた上皮間葉転換の解析だけでは、不十分であると考え腫瘍微小環境を含めた解析を追加した。腫瘍微小環境の解析は、現在行っている手法と大きく変更する点はない。標的分子が増えたことから、微小環境内における定量化および局在化を視覚化するために多重免疫染色法を用いて解析を行っており、次年度には、研究はさらに伸展するものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き上皮間葉転換および腫瘍微小環境における各分子の発現を解析する。さらに犬と猫のがんでは、どのような因子が上皮間葉転換と関連するのか、動物種での違いを明らかにする。さらに、非侵襲的に上皮間葉転換を予測できるバイオマーカーを探索する。
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