研究課題/領域番号 |
23K14095
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
合屋 征二郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (20836887)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 低酸素血症 / イヌ / 僧帽弁閉鎖不全症 / エンドセリン / 肺高血圧症 / 肺高血圧 / 低酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
肺高血圧症は肺動脈圧がなんらかの原因で異常に上昇し、右心不全を呈する致死的な病態である。獣医療では原因によって1群から6群に分けられ、左心不全に由来する第2群肺高血圧症が最もよく遭遇する。肺高血圧症の治療には肺動脈拡張薬が使用されているが、第2群においては左心不全の悪化が懸念されるため、慎重に投与すべきとなっている。現在、ヒト医療でも獣医療でも第2群肺高血圧症において肺動脈拡張薬使用の適応基準や治療効果判定の方法は確立していない。本研究は肺動脈拡張薬の必要性予測と治療効果判定に血中エンドセリン濃度と動脈血中酸素分圧が有用であることを調べる。
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研究実績の概要 |
令和5年度、僧帽弁閉鎖不全症に続発する第2群肺高血圧症のイヌの血液サンプルが予定よりも早期に目標数に達した。血液中のbig ET-1濃度を計測したところ、肺高血圧症の治療薬の1つであるPDE5阻害薬のシルデナフィルを必要とした第2群肺高血圧症のイヌはシルデナフィル治療を必要としなかったイヌと比べて有意に血中big ET-1濃度が高かった。この結果は第2群肺高血圧症の治療戦略として血中big ET-1濃度測定が有用であるという本研究の仮説を裏付けた。つまり2群肺高血圧症のイヌにおいて診断時に血中big ET-1濃度を測定することでシルデナフィル使用の必要性が事前に予測できるため、適切な治療介入が可能となるということである。 また、シルデナフィル治療に抵抗性を示した肺高血圧症のイヌでは血中big ET-1濃度が高く、かつ動脈血中酸素分圧が低かった。エンドセリン受容体拮抗薬の使用によって血中big ET-1濃度の低下および低酸素血症と臨床症状の改善が認められたことから、シルデナフィル治療抵抗性のメカニズムの一因として低酸素-エンドセリン経路が関与していることが示唆された。この研究結果はイヌの肺高血圧症における低酸素-エンドセリン経路の重要性を示し、獣医療においても肺高血圧症の治療に多剤併用療法が選択される根拠となるであろう。 本研究結果は令和6年度European Congress of Veterinary Internal Medicineで発表予定である。また、海外の学術雑誌に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予想よりも多くの肺高血圧症例のサンプルを得ることができたため、当初の計画以上に進捗している。予定では来年度に国外で研究成果の発表を行う予定であったが、新規性の高い研究であるため令和6年度に国際学会で発表することにした。同時に本研究結果は令和6年度に海外の学術雑誌に投稿予定である。 また令和6年度から慢性肺高血圧モデルの作成を開始するが、その完成は約1年ほどかかる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、健常ビーグルに長期留置用カテーテルを設置し、1週間に2回マイクロスフィアを肺動脈に塞栓させることで慢性肺高血圧症モデルを作成する。しかしながら動物がカテーテルを取り外すあるいはカテーテル内が閉塞してしまうなどのトラブルが起こることが予見される。そのため3日に1回、カテーテル内にヘパリンを通すことで閉塞を予防する。動物がカテーテルを取り外してしまった場合は再度埋め込む処置を迅速に行うことで対応する。
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