研究課題/領域番号 |
23K14096
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
島田 昌和 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 大学院特別研究生 (00906109)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 前十字靭帯疾患 / 犬 / 整形外科 / 膝関節 / 前十字靭帯断裂 |
研究開始時の研究の概要 |
前十字靭帯断裂は犬の後肢跛行の主な原因である。現在、外科的治療として体重負重時の脛骨の前方への亜脱臼を制限するために、骨形態を矯正する機能的安定化術が広く用いられている。しかし、この術式は前十字靭帯機能の完全な再現には至らない。前十字靭帯機能を再現することで、より正常に近い膝関節運動の実現と症例の生活の質の向上を期待している。しかし、犬で靭帯再建術を試みる報告が散見されるが、早期的な破綻が問題となっている。そのため本研究では、再建靭帯への負荷の軽減を目的とした機能的安定化術と、前十字靭帯機能の再現を目的とした靭帯再建術のメリットを併せ持つHybrid法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
機能的安定化術は、過去より複数報告されているが、脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)が世界で最も実施されており、術後早期より負重機能が回復することが知られている。しかし、靭帯再建術を併用するためには骨孔を作成することが必要でり、TPLOでは近位骨片が小さく、骨孔作成が困難であることが予想された。そのため、本研究では脛骨頭側楔状骨切り術(CCWO)を選択した。臨床例では、CCWOもTPLO同様の結果を得ることができるという報告もあるが、CCWOに関連した報告がそもそも少ないのが現状である。特に、TPLOに比較しCCWOに関する生体力学的な報告は少なく、CCWOにてHybrid法を実施する上で、CCWOという術式を理解することが重要であると考えた。そのため、関節力学ロボットシステムを使用し、CCWOが膝関節の安定性に及ぼす影響を解析した。その結果、CCWOを実施した膝関節では、前十字靭帯を切除した場合、体重負重時の安定性は得られるものの、非負重時では不安定性を助長することが明らかとなり、前十字靭帯機能の再現のためには靭帯再建術を併用する必要性が示唆された。本検討結果は、BMC Veterinary Researchにて論文報告した。 また、CCWOと、軟部組織(薄筋腱や半腱様筋腱)を使用した靭帯再建術を併用したHybrid法の生体力学的特徴を解析するために、関節力学ロボットシステムを使用し、10膝関節の試験を実施した。この検討では特に、再建靭帯がどの程度本来の前十字靭帯の機能を再現できているかを評価する必要がある。そのために、CCWOを実施した膝関節において、前十字靭帯を温存した状態と、前十字靭帯切除後、靭帯再建術実施後のデータを収集した。2024年度は、この収集したデータより、再建靭帯により得られた膝関節の安定性や、再建靭帯の張力を解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、研究活動以外の業務や2024年度の所属移動にむけた準備などに伴い、論文投稿や研究実施の予定が若干遅れたものの、関節力学ロボットシステムを使用したHybrid法の試験は予定していた検体数を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は関節力学ロボットシステムで得られた、軟部組織グラフトとCCWOのHybrid法のデータの解析を優先的に行う。特に、再建靭帯がどの程度本来の前十字靭帯の機能を再現できているかを評価する必要がある。そのために、CCWOを実施した膝関節において、前十字靭帯を温存した状態と、前十字靭帯切除後、靭帯再建術実施後のデータを収集した。このデータより、再建靭帯により得られた膝関節の安定性や、再建靭帯の張力を解析していく。この結果の論文投稿に向け、執筆を開始するとともに、現在行っているHybrid法に改善する点があるかを判断し、生体内での実施を検討していく。
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