研究課題/領域番号 |
23K14102
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
永田 礼子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 科長 (30355177)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ヨーネ菌 / レクチン / 抗酸菌 / 増殖促進剤 / ウシReg3γ |
研究開始時の研究の概要 |
畜産業に大きな経済的被害をもたらす牛ヨーネ病は、現在、国の定める防疫対策を以てしても清浄化が困難であるため、有効な早期診断法の導入と発病機構の解明が必要である。 申請者は、腸管病変部に特徴的に高発現する遺伝子、腸管C型レクチンタンパク質をコードする「Reg3γ」を同定した。その組換えタンパク質を用いることで抗酸菌の増殖が促進されることを発見した。本研究では、菌増殖促進効果を有するウシReg3γに結合する菌側の「因子X」を同定する。 得られた成果は、Reg3γやヨーネ菌因子Xを利用した早期診断法開発への応用が期待され、また、ヨーネ病の病態におけるウシReg3γの役割解明につながる知見となる。
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研究実績の概要 |
畜産業に大きな経済的被害をもたらす牛ヨーネ病は、症状のないまま半年から数年にも及ぶ長い潜伏期間、糞便中に排菌して感染拡大することや、起因菌であるヨーネ菌の培養に3,4ヶ月もの期間を要することが、本疾病清浄化の障壁となっているため、有用な早期診断法の導入と発病機構の解明が必要である。 申請者が同定したヨーネ病牛腸管病変部に特徴的に高発現する遺伝子、腸管C型レクチンタンパク質をコードする「Reg3γ」は菌増殖促進効果を有することから、ウシReg3γに結合する菌側の「因子X」を同定することを目的とした。 過去に大腸菌を用いて発現した遺伝子組換えウシReg3γは、凝集しやすく不安定で大量産生が困難であった。そこで本年度は、合成したウシReg3γ遺伝子をPUC系発現ベクターに挿入、大腸菌にて増幅後、哺乳動物細胞用発現ベクターへ再挿入し、遺伝子組換えベクターを作製した。CHO系細胞へ導入し、限界希釈法によるクローニングにおいて発現量が多く、発現が持続するクローンを選抜した。レクチンの特徴でもあるマンナン結合性を利用してマンナンアガロースにて精製し。アミノ酸解析結果により目的のアミノ酸と一致していることを確認した。30 mL培養から0.49 mg/mlの精製ウシReg3γが産生され、真核細胞であるCHO系細胞へ導入することにより安定した組換え体の生産・精製を行った。精製ウシReg3γは以前に作製した大腸菌発現系組換えタンパク質に対する抗体とも反応し、大腸菌発現系組換えタンパク質同様、ドットブロット法によりヨーネ菌と結合することを確認した。 以上から、哺乳動物細胞を宿主とした組換えタンパク質産生に優れたベクターを利用することで、抗酸菌増殖促進効果を有するウシ腸管C型レクチンReg3γの遺伝子組換え体を安定的に発現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現ベクター作製後、真核細胞CHO系細胞への導入を繰り返し、哺乳動物細胞発現ベクターを用いることで遺伝子組換えウシReg3γの安定的な発現に成功した。 続いて、タンパク質間の物理的な相互作用を解析する手法であるプルダウンアッセイによりReg3γと結合するヨーネ菌因子Xを検出するため、ヨーネ菌表面タンパク質を抽出する必要があり、ガラスビーズを用いる方法で実施できた。 本年度計画していた研究内容がおおむね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
計画の通り、抽出したヨーネ菌表面タンパク質を用いて、プルダウンアッセイにより精製ウシReg3γと結合するヨーネ菌因子Xを検出する。 ヨーネ菌因子XをLC-MS/MS解析により推定し、因子Xに対する抗体(α-X)を作製し、ヨーネ菌と精製ウシReg3γの結合を阻害するか調べることで、推定した分子が因子Xであることを証明する。 ヨーネ菌培養に精製ウシReg3γおよび抗体α-Xを追加し、精製ウシReg3γのヨーネ菌増殖促進効果の抗体α-Xによる阻害を検証する。
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