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妊娠関連リーシュマニア症マウスモデルの確立と免疫病態におけるマクロファージの役割

研究課題

研究課題/領域番号 23K14109
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分42030:動物生命科学関連
研究機関東京大学

研究代表者

溝渕 悠代  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (70963461)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードリーシュマニア / 垂直感染 / 胎盤 / I型IFN / 妊娠 / マクロファージ / 母子免疫
研究開始時の研究の概要

内臓型リーシュマニア症 (VL) は、イヌ及びヒトで貧血・肝脾腫などの重篤な症状を引き起こす人獣共通感染症である。VL罹患中に妊娠すると母体症状が悪化する上、胎子にも垂直感染し早産や胎子発育不全を引き起こす。妊娠関連リーシュマニア症(PAL)の症例は以前から報告されているものの、その免疫病態は明らかになっておらず治療法も確立されていない。そこで、本研究ではPALマウスモデルを確立し、PAL免疫病態メカニズムを解明する。特にリーシュマニア原虫の宿主細胞であるマクロファージ(MΦ)に注目し、PAL特異的なMΦ活性化が母子の免疫病態に与える影響を解明する。

研究実績の概要

今年度得られた結果は以下のとおりである。1) 母親Ld感染による妊娠率の低下: L. donovani (Ld) 感染は交配率と受胎率を下げることが明らかになった。交配後の経時的な膣栓陰性率は感染群で延長した。さらに、感染群では膣栓が確認されても妊娠に至る個体が少なく、受胎率が低いことも示された。2) 胎子へのLdの垂直感染: 次に、垂直感染を評価するために子の脾臓肝臓からPCRで原虫DNAの検出を試みたところ、103匹の子のうち72匹がPCR陽性(69.9%)であり、18匹の母親のうち12匹で垂直感染が起こっていた(66.6%)。さらに、胎子肝臓の免疫染色においてLd抗原陽性細胞が検出された。これは、マウスモデルにおけるVL垂直感染を組織学的に実証した最初の報告である。一方、予想に反して感染胎盤ではLd抗原陽性細胞は観察されなかったため、血中に遊離した原虫が経胎盤感染に寄与していると考えられる。3) 母親Ld感染によるT細胞浸潤性胎盤変性: 次に、HE染色による胎盤の病理学的解析を行ったところ、Ld感染胎盤ではラビリンスゾーン (LZ) の密度が低く、絨毛を構成する栄養膜細胞の萎縮及び血管拡張が観察された。さらに、免疫染色により感染胎盤のLZにおいてCD3陽性T細胞浸潤が認められた。4) 母親Ld感染による胎盤I型IFNシグナルの活性化: 最後に、胎盤のRNAseq解析を行ったところ、感染胎盤においてI型IFNシグナル及びその下流で誘導されるMHC Iシグナルの活性化に関わる遺伝子が促進していることが明らかになった。一方で、感染胎盤ではNFκB抑制、T細胞抑制、細胞性免疫抑制などのシグナルに関わる遺伝子も誘導されていた。本研究において特徴づけられた胎盤変性により、胎盤関門が脆弱になりそこから原虫が垂直感染している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度では内臓型リーシュマニア症(VL)の妊娠モデルを確立し母親及び胎子の病態評価を行う予定であったため、おおむね当初の計画通り研究が進行している。当VLモデルは症状が顕著になるまでに6~8ヶ月、その後妊娠・出産にさらに1ヶ月を要することから長期の実験系となるが、マウス感染実験のサイクルを定期的に回し効率性を高めることで対応した。妊娠感染症の系を立ち上げるのは申請者にとって初めての経験であったが、学会で知り合った他大学の先生方にアドバイスをお願いし、安定した交配・妊娠の維持と評価系の確立に至ることができた。また、マウス使用数が多く申請者一人で妊娠系を維持するのは難しいため、所属研究室室員と協力体制を築きながら研究を進めている。申請者は幼児二人の母親でありラボ滞在時間に制限があるけれども、このように周囲の研究者と協力することで研究を当初の計画通り進行できている点は評価に値すると自負している。

今後の研究の推進方策

今後は、Ld感染母から生まれた子のフォローアップを行い、子の発育状態や病態変化及び免疫系の異常の有無を評価していく予定である。しかしながら、初年度の研究結果から感染が妊娠率を低下させることが明らかになり、かつ予備実験段階で感染母親の子食率も高いことから、効率的に子マウスを獲得・育成する方法を検討することが直近の課題である。子マウスの評価としては、① 低常時の発育状態、② Ld感染に対する抵抗性、③ PAMPsに対する自然免疫応答性、④ OVAに対する適応免疫応答性 等を評価する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 内臓型リーシュマニア症妊娠マウスにおける胎盤変性を伴う垂直感染2024

    • 著者名/発表者名
      ○溝渕悠代、三條場千寿、後藤康之
    • 学会等名
      第93回寄生虫学会大会、2024年3月9日、東京
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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