研究課題/領域番号 |
23K14116
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 耕太 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教(常勤) (10867279)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 老化 / 寿命 / 生殖細胞 / ターコイズキリフィッシュ / 個体老化 |
研究開始時の研究の概要 |
生物の寿命・老化がどのように規定されているかは生物学に残された重要課題の一つであり、とくに複雑な生理調節機構を持つ脊椎動物ではメカニズムの理解は遅れている。無脊椎動物では「生殖細胞」が寿命を負に制御しており、生殖細胞除去により寿命が延伸するという発見がなされた。一方、脊椎動物の老化において生殖細胞が果たす役割はこれまで不明であった。申請者は、超短命モデル脊椎動物ターコイズキリフィッシュを用いることで、脊椎動物の生殖細胞が老化速度を制御することをつきとめた。本申請課題ではさらに、脊椎動物の生殖細胞を介した老化制御メカニズムの解明および、これに基づく健康寿命延伸の新戦略の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
超短命モデル脊椎動物ターコイズキリフィッシュを用い、「生殖細胞を起点とする健康寿命延伸シグナル」の同定、解析を進め、以下の結果を得た。本年度は、生殖細胞除去により寿命が延伸したオスの体で活性化が示唆されたビタミンDシグナルに着目し、健康寿命延伸シグナルとしての機能検証を行なった。活性型ビタミンDをターコイズキリフィッシュに長期間投与した結果、寿命が有意に延伸することが明らかとなった。生殖細胞除去でビタミンDシグナルの活性化が認められたのはオスのみであったが、ビタミンD投与の結果オスメスともに寿命が延伸した。従って、ビタミンD自体は性によらず寿命を延伸するホルモンである可能性が見出された。さらに、組織解析の結果、ビタミンD投与は皮膚や筋肉の健康状態を確かに改善することも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「生殖細胞を起点とする健康寿命延伸シグナル」の第一の候補として着目していたビタミンDシグナルが脊椎動物の寿命をコントロールすることを示すことができた。この発見を起点にシグナルの上流、下流を探ることで生殖細胞を起点とした制御メカニズムにさらに迫ることができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
生殖細胞を起点とした個体老化制御メカニズムの一端を解明することができたが、生殖細胞がどのようにしてビタミンDシグナルを制御するのか、また、ビタミンDシグナルの他に寿命延伸シグナルが存在するのかは未解明である。これらを明らかにするために、当初の計画通り生殖細胞や生殖腺が産生する分泌因子に着目した解析を進める。その際、独自に網羅的な解析系の構築を進めるとともに、公開されているオミクスデータを活用しながら因子を絞り込む。
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