研究課題/領域番号 |
23K14121
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
福嶋 悠人 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員 (10973688)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | テロメア / ヘテロクロマチン / 卵割 / リプログラミング / ヒストン修飾 / エピゲノム / 発生 / 魚類 |
研究開始時の研究の概要 |
真核生物で保存された構造であるテロメアには抑制性ヒストン修飾H3K9me3に代表されるヘテロクロマチン構造が存在するが、ヘテロクロマチンのテロメアに対する機能とその分子メカニズムは不明であった。 本研究ではH3K9me3がテロメアのみに存在するというメダカ初期胚の材料の特性を活かし、候補因子絞り込みと初期胚操作による実験的検証から、テロメアにおけるヘテロクロマチンの機能と分子メカニズム、さらにその普遍性の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
①テロメアにおけるヘテロクロマチンの機能解析のため、魚類初期胚におけるテロメア特異的なヘテロクロマチン消去を行う実験系の確立を開始した。その過程で意外なことに、テロメアに外来性タンパク質をリクルートするだけで、テロメア保護が破綻することが判明した。このことは、通常の体細胞とはことなり、初期胚を構成する細胞ではテロメアが非常に脆弱な状態にあることを示唆している。現在、その原因の探索を開始している。 ②また魚類初期胚では、受精後の卵割の過程において、テロメア以外のヘテロクロマチンはゲノム上から消失する。このメカニズムを知ることは、ひいてはテロメアのヘテロクロマチンの維持機構、さらにはその機能の解明にもつながると考えられる。そこで、魚類初期胚におけるヘテロクロマチン動態の制御メカニズムの解明を試みた。その結果、細胞周期の長さの調節機構が、修飾酵素の核局在を制御することにより、ヘテロクロマチン動態を制御することが判明した。具体的には、初期卵割期においては細胞周期が短すぎるため、修飾酵素によるヘテロクロマチン導入が間に合わず、細胞分裂に伴うクロマチン複製の結果、ヘテロクロマチン修飾が半減していく。しかし卵割の進行にともない細胞周期が伸長し、次第に修飾酵素によるヘテロクロマチン導入が十分行われるようになると、ヘテロクロマチン量が回復していく。さらに、このメカニズムは魚類・両生類でも保存されていることを確認したため、生物種横断的・普遍的な現象を発見したと考えている。なお、この結果については論文にまとめており、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要の①については、当初の計画通り研究が進展している。今後も計画通りに研究を進める予定である。 ②については当初の計画には含まれていなかったが、並行して実施したところ非常に示唆的な結果を得た。すでに論文投稿・査読中であり、順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画に沿って研究を行う。さらに、概要に記載の②で得た知見も活用し、テロメア以外のゲノム領域におけるヘテロクロマチンの機能とその維持メカニズムをテロメアと比較することで、より深い知見を得ることを目指す。 加えて今年度からはマウスを扱う研究室へと異動したため、これまでに魚類で得た知見を哺乳類における解析にも活用し、より生物種横断的・普遍的なメカニズム・機能の解明を試みる予定である。
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