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Claspinによる多様なストレス反応制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14132
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分43010:分子生物学関連
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

楊 其駿  公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (80792647)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワードClaspin / stress / Heat shock / elf2 / Chk1
研究開始時の研究の概要

Claspinは複製ストレスチェックポイントにおいて、エフェクターキナーゼChk1にシグナルの仲介分子として機能する。研究代表者は、Claspinが血清飢餓からの増殖再開に必須の役割を果たすことを見出した。この発見に基づき、熱、浸透圧、酸化、低酸素など種々の生体ストレスに対する応答を調べた結果、これらの種々のストレスに応答してClaspinに依存してChk1が活性化されることを見出した。本研究では、これら種々のストレス応答におけるClaspinの上流、下流因子を同定し、その詳細な細胞応答経路を解明するとともに、複製ストレス経路と他のストレス経路との機能的クロストークの実体を解明する。

研究実績の概要

Claspinは、DNA複製におけるフォーク進行と開始を促進する重要な複製因子として知られています。近年、私たちはClaspinの新たな役割を発見しました。それは、酸化ストレス、浸透圧ストレス、温度変化、細菌感染、低酸素、高グルコースなど、様々な生物学的ストレスに対する細胞応答に関与するということです。これらのストレスは、Chk1と呼ばれるキナーゼをClaspin依存的に活性化します。
私たちは、4つのeIF2aキナーゼ(PERK、GCN2、PKR、HRI)を欠損させたMEF細胞株を用いて、Claspin-Chk1活性化メカニズムをさらに調べました。その結果、GCN2とHRIの発現がClaspin-Chk1活性化に必須であること、eIF2aキナーゼがClaspin-Chk1の活性化状態の維持に必要であることが明らかになりました。これらの結果から、eIF2aキナーゼは、Claspin-Chk1活性化と細胞の熱ストレス応答に重要な役割を果たしていると考えられます。
私たちは、高温処理でClaspinのC末端に存在する5つのリン酸化サイトがリン酸化されることを質量分析によって確認しました。さらに、生化学的解析とキナーゼ阻害剤を用いて、これらのリン酸化サイトがGCN2とHRIによってリン酸化されることを検証しました。これらの結果から、ClaspinとeIF2aキナーゼの相互作用は、細胞の熱ストレス応答に重要な役割を果たしていると考えられます。さらに、2つのリン酸化サイト変異体細胞株を作製しました。この変異体細胞株は、今後の熱ストレスやその他の生物学的ストレスに対する細胞応答にどのように影響を与えるかを検証できます。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

熱ストレスは、eIF2αキナーゼのGCN2とHRIの発現によってChk1活性化が回復され、その活性化にはeIF2αキナーゼが必要であることが発見されました。eIF2αキナーゼは、Claspin-Chk1またはその活性化状態の維持に必要であることが示唆されました。さらに、ClaspinのC端の5つのリン酸化サイトがリン酸化されました。この5つのリン酸化サイトはGCN2とHRIによりリン酸化されました。ClaspinとeIF2αキナーゼの相互作用は、高温に対する細胞応答の役割が重要だと考えています。熱ストレスが誘導するClaspinのリン酸化を指標に、そのリン酸化部位を同定しました。高温により、ClaspinのC末端の5つのリン酸化部位がリン酸化されることが確認されました。これら5つのリン酸化部位のリン酸化は、生物情報学的手法により、GCN2とHRIが可能性のあるリン酸化酵素として予測されました。さらに、純化されたタンパク質を用いて、GCN2とHRIがClaspinのC末端の5つのリン酸化部位をリン酸化できることを確認しました。また、Claspinの5つのリン酸化部位を持つ変異体を安定に発現する細胞株を構築し、この細胞株を用いて、ClaspinのC末端の5つのリン酸化部位がChk1の活性化を促進できることが確認されました。ClaspinとeIF2αキナーゼの相互作用に関する高温に対する細胞応答の役割についての研究は順調に進行しています。

今後の研究の推進方策

Claspinの5つのリン酸化部位を持つ変異体を安定に発現させる細胞株を用いて、関連キナーゼを同定し、それらの機能的意義を解析します。Claspinが高温に対する細胞応答のメカニズムを解析します。今後、私たちは作製した5つのリン酸化サイト変異体細胞株を利用して、その変異体が熱ストレスやその他の生物学的ストレスに対する細胞応答にどのように影響を与えるかを検証する予定です。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 複製ストレス仲介分子Claspinと多様な細胞シグナル経路とのクロストークによる細胞ストレス応答機構2023

    • 著者名/発表者名
      楊其駿 、蕭皓文、正井 久雄
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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