研究課題/領域番号 |
23K14134
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
畠澤 卓 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任研究員 (60972578)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | エピジェネティクス / クロマチン / ヌクレオソーム / ヒストンアセチル化 / p300 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、p300によるヒストンアセチル化伝搬機構の解明を目的とし、構造生物学的な解析を行う。p300はクロマチンの基本単位であるヌクレオソーム中のアセチル化ヒストンを認識して結合し、その周囲にアセチル化を伝搬させることによって、転写活性の高いゲノム領域の形成に寄与する。本研究では、再構成アセチル化ヌクレオソームとp300からなる複合体の構造解析によって、p300によるヌクレオソーム上のアセチル基の認識およびアセチル化伝搬のための結合様式を明らかにする。加えて、細胞由来のp300-ヌクレオソーム複合体構造を解析し、多様な結合因子によるアセチル化伝搬制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
真核生物のゲノムDNAは、ヒストン複合体に巻き付くことで円盤状のヌクレオソームを形成する。ヌクレオソームは数珠状に連なることでクロマチン構造を形成し、高度に折りたたまれることで細胞核内に収納されている。クロマチンはその構造を変化させることによって、生命活動の根幹を担うゲノム機能の発現を制御している。ヒストンアセチル化はクロマチン構造変換を制御する主要なヒストン翻訳後修飾である。この修飾はヒストンアセチル化酵素によって触媒され、クロマチン構造を変化させ、遺伝子発現を活性化させるとされている。代表的なヒストンアセチル化酵素であるp300は、多様なヒストンのアセチル化を介して特定の遺伝子の活性化に機能する。加えてp300は、ヌクレオソーム中のアセチル化ヒストンを認識して結合し、クロマチン上にヒストンアセチル化を伝搬させる。これはエンハンサーといった転写活性の高いゲノム領域の形成に寄与するp300の重要な機能であるが、ヒストンアセチル化の伝搬メカニズムの詳細は不明な部分が多い。以上のような背景から本研究では、p300によるヒストンアセチル化の伝搬メカニズムの解明を目的とし、構造生物学的な解析に取り組んだ。まず、試験管内再構成アセチル化ヌクレオソームとp300の活性ドメインからなる複合体のクライオ電子顕微鏡構造解析に取り組んだ。また、多様なクロマチン結合因子によるアセチル化伝搬制御機構の解明のため、細胞由来の全長p300-ヌクレオソーム複合体構造解析に向けた実験を遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度はアセチル化ヌクレオソームおよびp300活性ドメインからなる複合体を精製し、クライオ電子顕微鏡単粒子解析のためのデータセットの取得に成功した。また、細胞由来のp300-ヌクレオソーム複合体の精製に向け、タグ融合p300を安定的に発現するヒト細胞株を作製した。以上の結果を踏まえ、本課題は当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータセットの解析を進め、p300活性ドメイン-アセチル化ヌクレオソーム複合体の立体構造を明らかにする。また、生化学的な解析によって、アセチル化ヌクレオソームにおいてp300によってアセチル化されるヒストン残基を特定する。さらに、タグ融合p300発現株からp300-ヌクレオソーム複合体を精製し、その構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析によって明らかにする。
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