研究課題/領域番号 |
23K14143
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 裕輝 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (50879971)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | TOLLIP / PI3P / 小胞体品質管理 / リソソーム / タンパク質品質管理 / ER-phagy / ERAD / 膜タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
小胞体での生合成に失敗した膜タンパク質は、プロテアソーム依存的ERAD経路もしくはリソソーム経路を介して分解される。このうちリソソーム経路の分子機構はほぼ未解明であったが、我々は最近、不良膜タンパク質を選択的に認識してリソソームへの輸送を促す新規膜タンパク質品質管理因子TOLLIPを同定した。本研究ではこの知見を発展させ、不良膜タンパク質のリソソーム分解に関与する因子や分解される基質の網羅的同定を行うことなどを通し、リソソーム経路の全体像やその生理的意義を明らかにする。さらにメカニズム解析の成果を踏まえ、不良膜タンパク質蓄積を原因とする各種疾患に対する新たな治療戦略を提示することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題の遂行に先駆けて、私たちはこれまで小胞体における新たな膜タンパク質品質管理機構としてTOLLIP依存的リソソーム分解経路の存在を明らかにしていた。これは、小胞体でのフォールディングに失敗して蓄積した様々な不良膜タンパク質が、TOLLIPという細胞質タンパク質に選択的に認識され、リソソーム分解へとターゲティングされるというものである。 この知見を発展させ、本年度においては以下の研究成果が得られた。 1) TOLLIP依存的経路を標的とした疾患治療戦略の提示 私たちは前年度までの研究で、TOLLIPがVAPBやSeipinという小胞体膜タンパク質の神経変性疾患変異体を選択的に認識し、分解に導くことを見出していた。本年度は、このうちSeipinの遺伝性痙性対麻痺変異体を発現する神経系の細胞NSC-34やSH-SY5Yにおいて、TOLLIPはこの変異体の選択的な分解を促進することを見出した。このとき、遺伝性痙性対麻痺の原因として提唱されている小胞体ストレスもTOLLIPにより軽減した。従ってTOLLIPの活性化が、不良膜タンパク質の蓄積を原因とする神経変性疾患の治療戦略となる可能性が示唆された。 2) TOLLIP非依存的経路の制御因子の同定 TOLLIP経路の解析の過程で、TOLLIPに依存せずリソソーム分解される不良膜タンパク質も多数存在することを見出した。その一例であるConnexin50の白内障変異体をモデル基質として用い、この基質のリソソーム分解に必要な因子をゲノムワイドCRISPR/Cas9スクリーニングで探索した。その結果、Connexin50変異体のリソソーム分解を担う、すなわちTOLLIP非依存的リソソーム分解経路を担う制御因子として、様々な小胞体遺伝子が同定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度までのTOLLIP経路の解析結果および上記1)の成果を報告する論文を、本年度中に国際学術誌へ報告することができ(Hayashi et al., EMBO J, 2023)、さらにTOLLIP非依存的経路の分子メカニズム解析の足掛かりとするためのCRISPRスクリーニングで期待通りリソソーム分解制御因子を多数同定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
計画の最終年度に当たる令和6年度は、CRISPRスクリーニングの結果に基づき、TOLLIP非依存的経路のリソソーム分解機構を分子レベルで明らかにすることを目指す。さらに解明したTOLLIP非依存的経路の分子メカニズムに基づき、レンズ細胞を用いた実験を通して、Connexin50変異を伴う白内障に対する新たな治療戦略の提唱を目指す。
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