研究課題/領域番号 |
23K14153
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
水内 良 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (60845535)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | RNA / 自己複製 / 生命の起源 / 前生物化学 / 自己触媒 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
原始地球で誕生した最初の自己複製体は短い単純なRNAであったと考えられているが、実験的な証拠がない。本研究では、鋳型依存連結反応によって再帰的に自己複製する最小のRNAを構築することで、原始的な自己複製RNAの存在可能性を支持する一つの直接的証拠を提示し、またその進化を探究するための新たな実験モデルを創出する。
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研究実績の概要 |
本研究では、鋳型依存連結反応によって再帰的に自己複製する最小のRNAを構築することで、原始的な自己複製RNAの存在可能性を支持する一つの直接的証拠の提示を目指す。鋳型依存連結反応では、鋳型となるRNAが基質 (2種類の短いRNA) の連結を触媒して自身を合成することで、自己複製する。本年度はまず、鋳型依存連結反応で自己複製しうる20塩基程度のRNAとその基質 (2種類の10塩基程度のRNA) のセットを複数設計し、自己複製能力 (自己複製の強さと再帰的複製の可能性) を生化学実験と自己複製方程式を用いて調べた。このとき、連結反応を促進するために、片方の基質RNAの末端には2',3'-環状リン酸を付与して活性化した。同修飾は原始地球に有りえたもっともらしいRNAの活性化機構である。検証の結果、十分に自己複製の程度が高く、かつ再帰的複製の可能性を示す自己複製RNAと基質のセットを一つ見出した。特に、連結反応によって非天然の2'-5'ホスホジエステル結合が生じ、鋳型と連結産物の複合体形成を不安定化させることを見出した。2'-5'ホスホジエステル結合も原始地球のRNAに広く見られたと考えられている。また鋳型に2'-5'ホスホジエステル結合が含まれていても同様に連結反応の触媒と非天然結合の形成が起きたため、完全な自己複製が実現された。このRNAはこれまでに知られていた最小の自己複製RNAの1/3 以下の長さである。一方で、再帰的複製は部分的であり、持続的な複製はまだ達成されていない。様々な実験から、特に基質RNA同士の結合と2',3'-環状リン酸の加水分解が問題であることが示唆された。そこで今後は、上記の自己複製RNAを基にさらに配列構造の改変を行い、また環境条件を最適化することで、鋳型依存連結反応によって持続的に自己複製する最小RNAの開発を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった最小の自己複製RNAが得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に見つかった最小自己複製RNAを基に、持続的に複製が可能な配列構造と環境条件を探索する。その後、多様な基質RNAを用いて、自己複製RNAが進化していく可能性も検証する。
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