研究課題/領域番号 |
23K14166
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
歐陽 允健 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (40906351)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | DNAメチル化 / エピジェネティクス / バイオインフォマティクス / 卵子 / 初期胚 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
DNAメチル化はエピジェネティック修飾の一つであり、哺乳類の発生などにおいて重要な役割を果たす。受精後の初期発生において、脱メチル化の中間体と思われる5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の増加が見られる。しかし、初期胚など微量細胞なため、この時期の5hmCのゲノム分布と機能が十分解析されず、正常な5hmCの制御機構と遺伝子欠損に誘発される異常な5hmCの機序が不明である。本研究では微量解析法とマウス変異体を用い、哺乳類卵子と初期胚の5hmCの制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では微量解析法とマウス変異体を用い、(1) 初期発生における5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)のダイナミクスを明らかにすると、(2) Stella欠損による異常な5hmCの原因を明らかにするという、2つの具体的な目標を定める。令和5年度(初年度)は以下4項目を実施した。 ① 野生型と変異体マウスから卵子(完全成熟卵子とMII卵子)、精子、初期胚(分裂直後の2細胞胚、8細胞胚、桑実胚と胚盤胞)を予定通り全て回収完了した。 ② 雌性・雄性ゲノムに非対称な一塩基多型解析を効率的に進めるために、ロングリードシーケンサーを導入した(寄付金との合算による購入)。先行研究のバルク細胞のロングリードDNAメチル化(5mCと5hmCを区別しない)解析法nanoEMを再現しつつ、微量化を進んでいる。ショートリードの微量化よりロングリードの微量化がハードルが高いと予想され、現在はリード長の問題に取り組み、来年度に完成を目指す。 ③ ロングリード解析の技術開発に時間が要するため、一塩基多型解析が必須ではない変異体マウスの卵子解析は先にショートリード手法でPBAT(Post bisulfite adaptor tagging)法と筆者が確立したLIH-seq法などで進み、全ゲノムでの異常なDNAメチル化と5hmCを観察できた。ロングリード解析法の開発が完了した次第、余分のサンプルで詳しく解析を進む予定である。 ④ 従来から進めていた母体因子Stellaがマウス始原生殖細胞と卵子における機能研究を完了して論文化した(BMC Genomics 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル回収は所属変更の前に予定通りに進み、ロングリードシーケンサーも無事に導入した。ロングリード解析の技術開発に時間が要するが、ショートリード手法と併用しつつ、来年度に予定された実験の一部を今年度中に始めた。また、関連成果の論文化も完了した。 野生型と変異体マウスから細胞回収は今年度に終了し、所属変更による動物実験の延期もなかった。想定したロングリードシーケンサーの導入にも順調だった。研究の順番が変わったが、来年度はロングリード解析の技術開発に注力できる体制が整い、研究全体を遅れないよう注意を払う。
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今後の研究の推進方策 |
ロングリード解析の技術開発に注力する。nanoEM法の微量化、最近報告されている1細胞ゲノム解析(Cao 2023)のメチル化解析の転用を並行に進む予定である。具体的な目標2つの達成を優先し、ショートリード手法と併用を検討する。
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