研究課題/領域番号 |
23K14169
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
津曲 和哉 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50963675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | proteomics / shedding / phosphorylation / ectodomain shedding |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究において、特定のプロテアーゼ(主にADAM17)を活性化する刺激を施したにも関わらず、細胞種ごとに大きく異なったシェディング基質が同定された。個別の基質に着目した研究から、膜タンパク質細胞質ドメインのリン酸化がシェディング感受性を制御することや、細胞内シグナル伝達に依存して異なった膜タンパク質がシェディングされることが報告されている。本研究では、シェディングプロテオミクスとリン酸化プロテオミクスを組み合わせ、シェディングを制御するリン酸化部位や、その責任キナーゼ、また上流のシグナルカスケードを明らかにし、リン酸化によって制御されるシェディングの基質選択分子基盤の全体像を明らかにする。
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研究実績の概要 |
多くの膜タンパク質は膜型プロテアーゼによって切断され、その細胞外ドメインを遊離する。この現象は、エクトドメインシェディング (シェディング) と呼ばれる。我々の以前の研究において、細胞が機能や環境に応じて必要な膜タンパク質のみをシェディング基質として選択する機構が存在することが示唆された (Tsumagari et al., 2021 iScience)。この分子メカニズムを解明するために、4種類の細胞株 (HeLa、A549、U251-MG、SHSY5Y) について、5種類のシェディング活性化試薬 (ホルボールエステル, イオノマイシン, アニソマイシン、リポポリサッカライド、リゾフォスファチジン酸) およびメタロプロテアーゼ阻害剤を処理し、培養上清に遊離されるシェディング基質をプロテオミクスによって定量的に解析した。その結果、全372の膜タンパク質がシェディング基質として同定された。これらのうち、187、42、1、53タンパク質が上記の細胞株についてそれぞれユニークなシェディング基質として確認された。また、例えば、HeLa細胞においては、63、9、21、241、19がそれぞれのシェディング活性化剤処理下でシェディング基質として同定された。ホルボールエステル処理依存的なシェディング基質として、63、75、5、63のタンパク質がそれぞれの細胞株で同定された。現在、これらの細胞株について、それぞれのシェディング活性化剤で活性化するリン酸化部位・シグナル伝達について解明するために、試料調製および測定を順次行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シェディングプロテオミクス試料について、全調製および測定が完了した。リン酸化プロテオミクス試料について、質量分析システムのマシンタイムの律速により、測定が未完了であるため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
シェディングプロテオミクスを実施した細胞株について、それぞれのシェディング活性化剤で活性化されるリン酸化部位・シグナル伝達を解明するために、リン酸化プロテオミクス用の試料調製および測定を継続して順次行う。また、シェディング基質膜タンパク質の発現レベルを確認するためのプロテオミクスを実施する。これらのデータセットを組み合わせ、シェディングを制御するリン酸化ネットワークの解明を目指す。
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