研究課題/領域番号 |
23K14171
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山中 聡士 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 特定助教 (50853884)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | サリドマイド / CRBN / タンパク質分解 / ユビキチン / 近接ビオチン化酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
サリドマイドは世界規模の薬害を引き起こした薬剤である。現在、サリドマイド誘導体は血液がんへ年間2兆円の規模で使用されている。IMiDsは複合体ユビキチンリガーゼをハイジャックし、ネオ基質を分解誘導することで作用する。IMiDs研究における問題点としてマウスCrbnはIMiDsに対して非感受性であることがあげられ、マウス個体を用いた催奇性や薬理作用の解析はほとんど行われていない。そこで本研究では、AirID-CRBNを発現するマウスおよびヒト型CRBNを発現するゲノム編集マウスを用いることで、哺乳類におけるサリドマイド催奇性の評価系の構築およびサリドマイド催奇性の分子メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
当該年度は、AirID-CRBNを全身に発現するゲノム編集マウスを対象に、サリドマイドやその誘導体(IMiDs)依存的な相互作用解析の条件検討を詳細に行った。具体的には、IMiDsを経口投与もしくは腹腔内投与した際のネオ基質のビオチン化効率の比較や、ビオチンを高濃度で投与した際のビオチン化効率の比較を行った。ストレプトアビジンを用いたプルダウンアッセイを行い、ネオ基質のビオチン化を評価した結果、腹腔内投与に加えて経口投与においてもIMiDs依存的なCRBN-ネオ基質間の相互作用解析が可能であることを示した。IMiDsは経口投与医薬品として利用されているため、本評価系を用いたIMiDsの薬効標的や副作用標的の評価は、将来のサリドマイド誘導体の開発において重要な位置づけである。また、高濃度ビオチンをマウスに飲水投与することで、ネオ基質のビオチン化効率が高くなることが示唆された。このように、今後のサリドマイド催奇性評価のための有益な知見を得ることに成功した。 上記に加え当該年度は、妊娠したヒト型Crbn発現マウスおよびヒトCRBN発現マウスを対象に、サリドマイド催奇性の評価系の構築を行った。具体的には、サリドマイドの投与濃度や投与タイミングを検討しながら、胎児における催奇性の表現型を指標し解析を進めた。詳細な解析の結果、ヒトCRBN発現マウスにおいて催奇性の表現型を示す個体が存在した。現在、サリドマイド誘導体を用いたキメラ型タンパク質分解薬であるPROTACの開発が世界中で精力的に行われており、いくつかは臨床段階にある。しかしながら、サリドマイド催奇性をマウスで評価できる系は存在しないことから、今後のPROTACs薬開発に大きく貢献できることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の解析結果から、マウス個体内における近位依存性ビオチン標識法を用いたサリドマイド誘導体依存的な相互作用解析技術の構築に成功し、胎児における相互作用解析のための重要な知見を得ることに成功した。さらに、ヒトCRBNを用いたマウスを用いることで、サリドマイド催奇性の一部を評価可能であることが示唆された。しかしながら、条件検討に時間を要し、当初計画に記載していた妊娠マウスへサリドマイドを投与し、胎児における相互作用解析に関しては行うことができなかった。これらの結果から、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度では、マウス個体内おけるサリドマイド誘導体依存的な相互作用解析技術の開発およびサリドマイド催奇性の評価系の構築を目指して研究を遂行してきた。今後は、サリドマイド催奇性を誘導するための投与回数や投与時期をより詳細に調べ、ヒトにおけるサリドマイド催奇性に近い表現型を示すための条件検討を行う。さらに、AirID-CRBNを発現する妊娠マウスへサリドマイドを投与することで、胎児におけるサリドマイド依存的な相互作用解析行い、サリドマイド催奇性を示す条件においてどのようなネオ基質がCRBNと相互作用するのかを網羅的に解析する。さらに、サリドマイド催奇性を示す条件化における遺伝子発現の変化をRNA-Seqなどを用いて解析し、サリドマイド催奇性の作用メカニズムを明らかにすることを目指す。
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