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飢餓時にみられるリボソーム関連遺伝子のヘテロクロマチン化機構

研究課題

研究課題/領域番号 23K14175
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分44010:細胞生物学関連
研究機関東京大学

研究代表者

平井 隼人  東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (90938052)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワードエピジェネティクス / ヘテロクロマチン / リボソーム / 分裂酵母 / 栄養飢餓 / rDNA
研究開始時の研究の概要

細胞内のエネルギーを多く消費するリボソームの生合成は、栄養飢餓によって速やかに抑制される。これまでの研究で、飢餓によってリボソーム遺伝子群がヘテロクロマチン化され、転写が抑制されることがわかっている。しかし、飢餓ストレスをどのように認識してヘテロクロマチンが形成されるのかは未解明な点が多い。本研究では、ヘテロクロマチン化に寄与する因子と栄養シグナル伝達経路のクロストークを調べ、リボソーム遺伝子上にヘテロクロマチンが形成される機構を分子レベルで解明する。

研究実績の概要

栄養の枯渇はすべての生物にとって死活問題であり、この過酷な環境をどのように乗り越えるかが生存の鍵となる。これまでの進化の過程で、生物は飢餓を乗り越えるため様々な手段を獲得してきた。特に、タンパク質合成装置であるリボソームは細胞内のエネルギーを大量に消費するため、飢餓時にリボソームの生合成を抑制して細胞内資源を節約することは生存にとって有効な手段の一つとなっている。

これまでに、分裂酵母細胞を飢餓状態にするとリボソームRNAが転写される遺伝子領域 (rDNA)にヘテロクロマチンが形成され、転写が抑制されることを明らかにしてきた。しかしながら、細胞が栄養の枯渇をどのように認識してrDNAのヘテロクロマチン化を引き起こすのか未解明であった。本研究では栄養シグナル伝達経路に着目し、飢餓条件的ヘテロクロマチン形成機構をより深いレベルで解明することを目指している。

初年度は、代表的な栄養シグナル伝達経路の一つであるTOR (Target of Rapamycin)キナーゼが、rDNAのヘテロクロマチン形成に寄与するかを調査した。具体的には2種類存在するTOR経路のうちTORC1経路の活性を、tor2温度感受性変異体を用いて低下させた。その結果、富栄養時にもかかわらずrDNAがヘテロクロマチン化されること、およびヘテロクロマチン形成に寄与する因子のrDNAへの局在パターンが変動することを見出した。さらにRNA-seq解析により、tor2変異体では一連のリボソーム関連遺伝子群の転写も減少することがわかった。これら遺伝子群にもヘテロクロマチンが形成されていたことから、TORC1が外部の栄養環境をモニターしながら、リボソーム関連遺伝子上のヘテロクロマチン形成を制御するという新しいモデルを提唱することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予備的実験によりTORC1キナーゼが制御する転写因子を特定出来ていたこともあり、rDNAのヘテロクロマチン化に至るまでの具体的なpathwayを早い段階で明らかにすることができた。また、公共のデータベースからtor2変異体のRNA-seqデータを取得することが出来たため、当初の研究計画よりも前倒しで発現変動解析が完了した。さらに、論文出版までのプロセスも想定よりも順調に進み、国際学術論文に研究結果を報告することが出来た。

今後の研究の推進方策

2種類のTOR経路のうち、主にTORC1がリボソームの生合成を制御するというのが世界的な共通認識であるが、いくつかの知見によりTORC2の関与も示唆されている。今後はリボソーム関連遺伝子のヘテロクロマチン形成にTORC2が関与するのか着目して研究を進める予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] TOR inactivation triggers heterochromatin formation in rDNA during glucose starvation2023

    • 著者名/発表者名
      Hirai Hayato、Sen Yuki、Tamura Miki、Ohta Kunihiro
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 42 号: 11 ページ: 113320-113320

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2023.113320

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fission Yeast TORC1 Promotes Cell Proliferation through Sfp1, a Transcription Factor Involved in Ribosome Biogenesis2023

    • 著者名/発表者名
      Tai Yen Teng、Fukuda Tomoyuki、Morozumi Yuichi、Hirai Hayato、Oda Arisa H.、Kamada Yoshiaki、Akikusa Yutaka、Kanki Tomotake、Ohta Kunihiro、Shiozaki Kazuhiro
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biology

      巻: 43 号: 12 ページ: 675-692

    • DOI

      10.1080/10985549.2023.2282349

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Facultative heterochromatin formation in ribosomal genes induced by nutrient starvation2023

    • 著者名/発表者名
      Hirai, H., Takemata, N., Tamura, M., Ohta, K.
    • 学会等名
      11th International Fission Yeast Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] TOR 経路の不活性化は rDNA 領域のヘテロクロマチン形成を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      平井隼人、銭優希、田村美樹、太田邦史
    • 学会等名
      第13回TOR研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 栄養センサーTOR経路による新たな遺伝子発現制御メカニズムを発見

    • URL

      https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20231101000000.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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