研究課題/領域番号 |
23K14177
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山岸 雅彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30815501)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 基底小体 / 軸糸 / キネシン / 繊毛 / テトラヒメナ / 3D高分解能観察 |
研究開始時の研究の概要 |
繊毛は真核生物に共通な細胞小器官であり生命現象に非常に重要である。基底小体は細胞質と繊毛内部とを区切ると同時に繊毛タンパク質の繊毛内への出入りを制御していると考えられている。近年、基底小体の構造の解明は急速に進んできたが、入出制御機能についてはまだ十分には進展していない。 本研究では、単細胞生物繊毛虫テトラヒメナの遺伝子改変技術と、全反射顕微技術と3次元位置検出顕微技術を統合した3次元空間1分子観察技術を用いて、輸送されるタンパク質を1分子レベルで観察することで、細胞質で合成されたタンパク質がどのように細胞質から基底小体へ到達し、基底小体のどこを通過して繊毛内へ入るのかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は繊毛構成タンパク質や輸送タンパク質が基底小体を通過する分子プロセスを、1分子レベルの3次元空間位置情報を取得できる独自の3次元1分子観察技術によってリアルタイムイメージングを行い、繊毛輸送システムにおける細胞質と繊毛を繋ぐ物流ハブの役割を果たす基底小体の機能を明らかにすることを目的とする。 これまでに以下の点について研究を進めた。繊毛と細胞質の境界に位置する基底小体をキネシンがどのように通過可能であるかを検証するため、繊毛虫テトラヒメナから単離した基底小体と豚脳から精製したチューブリンを用いて、in vitroで1分子イメージングアッセイを行い、ラットキネシンは1分子や輸送荷物を結合した状態で微小管と連結した基底小体上を通過できることがわかった。本研究で扱うテトラヒメナ繊毛構成標的タンパク質の一つであるTt kinesin-9A、基底小体付近に局在することが予測されているTt kinesin-9B、および、IFT構成タンパク質であるkinesin-2の運動特性およびATP加水分解活性をin vitroで定量し、運動機能を検討した。Kinesin-9に関しては、3次元空間での運動をイメージングする光学系の構築も開始した。軸糸の中心微小管C2に局在するTt kinesin-9Aは特に運動速度が遅いモーター活性を保持していることがわかった。テトラヒメナ細胞内で標的タンパク質のリアルタイムイメージングを実現するため、上記キネシンや基底小体マーカーであるcentrinにそれぞれ蛍光タンパク質を融合したDNAコンストラクトを遺伝子導入し、Kinesin-2、および、centrinについて発現を確認し、それぞれ過去文献で報告されている通りに局在することを確認でき、詳細な局在が不明なkinesin-9Bやゆっくりと動くkinesin-9Aの細胞内イメージング方法の構築を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画通りにin vitro基底小体CPC通過アッセイが進み、基底小体上におけるキネシンの運動性が確認でき、また、軸糸の中心微小管を構成するkinesin-9A、及び、基底小体付近に局在するkInesin-9Bの1分子運動特性やモーター活性の定量まで進み、輸送物質の複数の標的分子に関する知見が十分に得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
テトラヒメナ細胞内に標的繊毛構成タンパク質kinesin-9Aおよび基底小体付近に局在するタンパク質kinesin-9B、IFT構成タンパク質kinesin-2のDNAコンストラクトを遺伝子組換え技術によって導入し、細胞内で各タンパク質をリアルタイムイメージングできる実験系を確立する。カバーガラストラップを用いて捕捉した細胞表面をTIRF顕微鏡により観察し、マイクロピペットによって捕捉した細胞内部を共焦点顕微鏡によって観察することで、3次元的に観察できるイメージングシステムの構築と改良を行う。
|