研究課題/領域番号 |
23K14183
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
重富 健太 九州大学, 理学研究院, 助教 (90878240)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | Tight junction / Cholesterol / Membrane lipid / Claudin |
研究開始時の研究の概要 |
Tight Junction (TJ)は、上皮細胞のバリア機能を担う細胞接着構造であり、Claudinなどのタンパク質や細胞膜脂質が集積し形成される超分子複合体である。TJ形成に、コレステロールや極長鎖脂肪酸鎖を有するスフィンゴミエリン等の特定の脂質分子種の集積が必要であることが明らかになった。しかしながら、TJ領域に特定の脂質が集積する分子機構やTJ形成における脂質の役割は不明なままである。本研究提案では、(1)TJに特定の脂質分子種が集積するメカニズムの解明と(2)リポソームを用いたTJの試験管内再構成によってタイトジャンクション形成における脂質の機能解明を目指す。
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研究実績の概要 |
我々の体表や器官の表面を覆う上皮細胞は、体内外の物質の流出入を制限する細胞接着構造であるタイトジャンクション(Tight Junction, TJ)を有することで、体内と外環境を隔てるバリアとして機能し、体内環境の恒常性を維持している。これまでに(1)TJ領域は、コレステロールや極長鎖脂肪酸鎖を有するスフィンゴミエリンが豊富な膜領域であること(2)形質膜のコレステロール量を低減させるとTJの形成が抑制されることから、TJ形成にコレステロールが重要であること、(3)コレステロールがTJを構成する膜タンパク質であるクローディンの集積に先立って生じていることの3点を明らかにしてきた。しかしながら、TJ領域へのコレステロールの集積機構は未解明なままである。本研究では、コレステロールのTJ領域への集積機構を解明すると共に、TJ形成における脂質の役割を理解することを目的として行う。 本年度は、コレステロールがTJ領域への集積機構を明らかにするために、網羅的な探索を行うための基盤の形成を行った。これまでに、コレステロール特異的プローブであるD4(ウェルシュ菌の産生する毒素であるperfringolysin oのdomain4)は、TJを構成する膜タンパク質であるクローディンをノックアウトした上皮細胞においても、TJ領域への集積が明らかになった。そこで、このD4に、近位依存性ビオチン化酵素を付与することで、コレステロール特異的にD4が集積しているTJ領域のタンパク質を網羅的に解析する。そして、コレステロールの集積に寄与するタンパク質を特定する。 今年度は、抗GFP nanobodyに近位依存性ビオチン化酵素を付与したNanobodyをGFPタグを付与したD4に反応させ、GFP D4周辺で、ビオチン化修飾が導入されていることを確認した。今後、網羅的な解析を行って行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、コレステロール特異的なプローブであるD4を用いて、TJを構成する膜タンパク質であるクローディンをノックアウトした上皮細胞での解析を行っている。抗GFP nanobodyに近位依存性ビオチン化酵素を付与したNanobodyをGFP D4に反応させ、GFP D4周辺で、ビオチン化修飾が導入されていることを確認した。今後は、網羅的な解析を行う予定であり、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針としては、これまでに確認したGFP D4周辺で近位依存性ビオチン化酵素によるビオチン化修飾の導入をより効率よく行うための条件検討が必要である。具体的には、GFP D4や近位依存性ビオチン化酵素、反応させるビオチンの量である。また、反応時間に関してもより詳細な検討が必要である。今後は条件が決定次第、スケールアップを行い、質量分析計を用いて、網羅的分析を行う。 そして、コレステロールに富んだ領域に集積しているタンパク質に関して、ノックアウトを行い、コレステロールの集積が異常になるタンパク質を特定する。その後、コレステロールの集積が、人工脂質2重膜などで、特定されたタンパク質の導入によって再現されるかを検証する。
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