研究課題/領域番号 |
23K14193
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北川 紗帆 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (60965739)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヒストンバリアント / ヒストンH3 / クロマチン / CUT&Tag / ヒストン / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類のヒストンH3には、H3.1とH3.2のバリアントが存在する。この2つは、わずか1アミノ酸のみしか異ならないため、主要なヒストンH3として一括りに扱われてきた。しかしながらH3.1は、H3.2とは異なり、哺乳類にのみ高度に保存されている。H3.1 には進化の過程で獲得された哺乳類独自の機能が備わっていると考えられるが、その詳細は不明である。本研究では、H3.1変異体マウスを作製し、その表現型を解析することでH3.1の生理機能を明らかにする。また、クロマチンプロファイリング技術 (CUT&Tag)を駆使したH3.1のゲノムワイドな局在解析を行うことで、その分子機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
H3.1の哺乳類独自の機能を明らかにするためには、ノックアウトマウスを用いた解析が必要である。しかしながら、H3.1遺伝子はマウスゲノムに複数コピー存在すること、また、H3.2と極めて高い塩基配列相同性(95%)を示すことから、特異的な遺伝子ノックアウトを行うことは非常に困難であった。本研究では、長鎖DNAベクターを用いて、65kbのクラスターとして存在する2つのH3.1を一度にH3.2に変換することで、ノックアウトマウス作成に用いる変異体ES細胞を効率よく作製する。ノックインに用いるDNAベクターは80kbと巨大であるが、Gibson assemblyおよびOriCiro cell cloning技術を駆使して、長鎖DNAベクターを作製した。 さらに、これらの長鎖DNAベクターをCRISPR/Cas9法によりマウスES細胞へ導入した。4つのH3.1遺伝子座を全てH3.2に変換するために合計3回のノックインを行う必要があるが、現在までに2回のノックインが完了している。得られたES細胞クローンの遺伝子型や核型を評価し、H3.1がH3.2に変換されたことを確認した。 また、H3.1のゲノムワイドな局在解析については、細胞株の作成に注力した。H3.1とH3.2を特異的に区別できる既存の抗体は存在しないため、内在性H3.1とH3.2 の発現を一挙にノックダウンした状態で、FLAGおよびALFAタグで標識したH3.1およびH3.2遺伝子を外来的に発現するES細胞を構築する。piggyBac法によりタグ標識および配列を改変したH3.1/H3.2遺伝子を導入した後、内在性H3.1とH3.2をノックダウンするためのshRNAレンチウイルスを細胞に導入することで、目的のES細胞クローンを取得した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度中に3回のノックインを完了できず顕著な成果が得られなかったが、全ての長鎖ドナーベクターの作成、また3回のうち2回のマウスES細胞へのノックインは完了しており、残り1回のノックインもこれまでの方法と同様に行うため、迅速に遅れを取り戻せる予定である。一方で、ゲノムワイドな局在解析については細胞株の取得が完了しており、本年度からゲノムワイドの局在解析に着手できる。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、残り1回のノックインを完了し、作成したH3.1変異ES細胞を用いて遺伝子改変マウスの作成に着手する。得られたH3.1変異型マウスと野生型マウスの表現型を比較することで、哺乳類個体におけるH3.1の生理的意義に迫る。 また、 ゲノムワイドな局在解析については、ペプチドタグに対する抗体を用いて CUT&Tag解析をおこない、H3.1とH3.2ののゲノムワイドな分布を明らかにする。
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