研究課題/領域番号 |
23K14214
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
杉 直也 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (70913218)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 内部形質膜 / 花粉管 / 精細胞 / 重複受精 / 膜崩壊 / Calcium / ライブイメージング / シロイヌナズナ |
研究開始時の研究の概要 |
内部形質膜は花粉成熟過程で生じる精細胞を包む膜である。内部形質膜は受精直前に崩壊して精細胞を素早く露出するが、その制御に関わる分子は不明である。申請者はCa欠乏条件で内部形質膜を安定に単離可能であることを発見した。このことから内部形質膜が花粉管破裂直後に生じるCaシグナルを崩壊トリガーとして認識している可能性が考えられる。本研究では、内部形質膜を軸とした精細胞輸送・細胞膜崩壊に関する新規研究分野開拓に向けた基盤構築を目指す。
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研究実績の概要 |
Ca欠乏条件において内部形質膜の安定性が上昇することを見出している。この知見を元に無傷な内部形質膜に包まれた精細胞ペアを大量に単離するための実験系の構築を進めた。まずシロイヌナズナの花粉を大量に集めるために大量に栽培した植物体から掃除機を用いて花粉を集める方法について検討し、いくつかの条件検討を経て大量の花粉粒を集めることが可能となった。過去の精細胞単離の報告を元にホモジナイザーやガラスビーズによる花粉粒破砕を試したところ、ガラスビーズを用いた場合に比較的効率よく精細胞を花粉粒から取り出すことができ、その中には内部形質膜に包まれた状態の精細胞も確認した。さらにCa特異的なキレート剤であるEGTAを添加することでより効率よく内部形質膜に包まれた状態の精細胞を花粉粒の外に取り出せることが分かった。 また、本研究提案の元となっているCaによる内部形質膜崩壊の誘導は、花粉管に青色光を照射することで人為的に効率よく花粉管破裂を誘導できるという知見に基づいて構築した花粉管破裂誘導系を用いて見出された。この花粉管への青色光照射はシロイヌナズナ以外の植物種の花粉管に対しても破裂を誘導すること、青色光照射によってCaの流入が観察されること、花粉管破裂を誘導するためには花粉管先端への照射が必要であることなどを明らかにし、これらをまとめて論文として発表した。この研究成果はPlant and Cell Physiology誌の表紙にも選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
花粉を大量に回収するための実験系の立ち上げ、そしてその花粉から内部形質膜を崩壊させることなく花粉粒の外に取り出すことに成功しており、大きな前進であると言える。また、花粉管破裂誘導系に関するデータを論文をとして報告することができた。これらの花粉粒あるいは花粉管から精細胞を取り出す方法論が確立したことで、今後の内部形質膜の大量単離や薬理学的なアプローチによる内部形質膜崩壊誘導因子の検証に向けた基盤が整ったと考えられることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は内部形質膜崩壊に関与する内部形質膜局在因子の同定を目指してプロテオーム解析を行う。そのために、花粉壁やオルガネラなどと混在した状態から内部形質膜に包まれた状態の精細胞の単離を進める。また、既知の内部形質膜局在因子や脂質とその相互作用に着目した精製も同時に行う。さらに、酵素やチャネルに対する阻害剤処理が内部形質膜崩壊に与える影響を観察することで、内部形質膜崩壊因子同定に向けた知見を集める。
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