研究課題/領域番号 |
23K14217
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
森中 初音 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (40908349)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 細胞リプログラミング / シュート再生 / シングルセル解析 / 分化多能性 |
研究開始時の研究の概要 |
多細胞生物の細胞分化全能性・多能性は細胞分化の進行とともに失われることが一般原則として認識されている。その一方で植物細胞の一部は高度に分化した後にも発生運命がリプログラミングされ、多能性を発揮する。本研究では、表皮細胞が高い効率で幹細胞にリプログラミングされるトレニア(Torenia fournieri)の組織培養系を活用し、シングルセル解析から得られる知見を手がかりに高度に分化した植物細胞の分化多能性を支える分子メカニズムを解明する。本研究が完成することにより、植物の高い再生能力を支える基盤の一端が明らかになり、多細胞生物における細胞分化の制御機構の新たな側面に光が当たることが期待される。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、トレニア茎断片培養系において、培養開始後早いステージでのシングルセルトランスクリプトームデータを取得し、それをもとに表皮細胞をはじめとする分化細胞の細胞運命がリプログラミングされる際の遺伝子発現プロファイルの解析を行なった。 その結果、トレニア茎断片培養系においては、培養に応答して出現する新しい種類の細胞集団において、リボソーム生合成関連遺伝子の発現が特に活発であることが明らかになった。 培養に応答して出現する新しい種類の細胞集団のうち1種類は、リプログラミング過程にある表皮細胞との対応が伺われた。この細胞集団に特異的な発現を示す遺伝子のうち、これまでは根毛形成の制御因子として知られていた因子についてシロイヌナズナの変異体の表現型解析を行なったところ、この因子が傷害に応答したカルス形成と分化細胞からのカルス形成を正に制御していることが示唆された。 今年度は、国際的な交流や成果発信にも努めた。ニューヨーク大学に短期留学し、シングルセルマルチオミクス解析に必要な細胞核単離技術とwhole mount HCR RNA FISHを用いた遺伝子の空間的発現パターンのイメージング技術を習得した。それだけでなく、研究成果を2つの国際学会で発表し広く発信した。さらに、日本植物学会第87回大会では、オーガナイザーとして国際シンポジウムを開催し、国内外から研究者を招聘し、自らも研究発表を行なった。また、分化細胞からのリプログラミングに関して、最新の知見を紹介する総説をCurrent Opinion in Plant Biology誌に掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シングルセルトランスクリプトーム技術により、分化細胞のリプログラミング過程に特異的な遺伝子発現プロファイルの解析を進めることができた。 これらの解析で特定した遺伝子のうちいくつかについてシロイヌナズナでの機能解析を行い、これまで再生・細胞運命リプログラミングという文脈では注目されてこなかった遺伝子について、再生における役割をもつことを明らかにすることができた。 さらに、意欲的に国際的な交流を行い、研究成果を広く発信することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
シングルセルトランスクリプトームデータから単離されたシュート再生制御の候補因子についてHCR RNA FISH解析による空間的発現パターン解析を行う。さらに、トレニアを形質転換して機能操作株を作成し、トレニアのシュート再生における機能解析を進める。それと並行して、シロイヌナズナでも機能操作株を用いた解析を進める。 再生での機能が明らかになった転写因子について、ChIP解析から下流の因子を特定する。 これらの研究成果をまとめ、学術誌で発表する。
|