研究課題/領域番号 |
23K14225
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 翔 北海道大学, 医学研究院, 博士研究員 (50964491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 睡眠 / 概日リズム / 爬虫類 / 摘出全脳標本 |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠制御機構は概日リズムと睡眠量の恒常性維持機構の2つのシステムで説明されてきた。しかし、概日リズムによる睡眠制御機構は、技術的な制約などから、不明な部分が多い。本研究では、オーストラリアドラゴン(Pogona vitticeps)を用いて、この課題に挑む。ドラゴンは、睡眠中に哺乳類で見られるノンレム睡眠やレム睡眠という睡眠ステージを周期的に繰り返し、その摘出した全脳を培養できることから、睡眠研究に有用な動物である。ドラゴンのin vivo標本と摘出全脳標本という2つの標本を用いることで、睡眠と概日リズムの関係を詳細に解析する。そして、概日リズムによる睡眠制御機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
睡眠制御機構は概日リズムと睡眠量の恒常性維持機構の2つのシステムで説明されてきた。しかし、概日リズムによる睡眠制御機構は、技術的な制約などから、不明な部分が非常に多い。本研究では、申請者らのグループが新たに睡眠研究へ導入したオーストラリアドラゴン(Pogona vitticeps、以下トカゲ)を用いて、この課題に挑む。 今期は、トカゲのin vivo標本を用いた睡眠解析に取り組んだ。具体的には、通常の12時間:12時間の明暗条件下と光が全くつかない恒暗条件下にトカゲを曝露し、その間の行動および脳波を測定することで、光条件がトカゲの行動と睡眠に与える影響を解析した。その結果、トカゲの行動および睡眠は恒暗条件においても、約24時間のリズムを維持することが明らかになった。また、行動測定用の動画データから、すでに報告のある体表色の変動についても解析を行ったところ、先行研究と同様に半分程度の個体で、概日リズムが観察された。さらに興味深いことに、通常のトカゲ睡眠時に観察される周期的な睡眠ステージの切り替わりが、恒暗条件において、長周期化し不安定になることを発見した。恒暗条件では、行動量が著しく低下することから、行動量の低下か恒暗条件に起因する視覚入力の減少がこの変化に関わる可能性が考えられた。そこで、行動量と睡眠ステージ切替え周期の周期長や安定性との相関関係を調べた。しかし、有意な相関関係は見られなかった。このことから、恒暗条件下における行動量の低下ではなく、覚醒時の視覚入力の減少が、その後の睡眠における睡眠ステージ切替えに影響することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今期の研究において、in vivo標本を用いた睡眠解析に従事し、一定の成果を得られた。 具体的には、通常の12時間:12時間の明暗条件下と光が全くつかない恒暗条件下にトカゲを曝露し、その間の行動および脳波を測定することで、光条件がトカゲの行動と睡眠に与える影響を解析した。その結果、トカゲの行動および睡眠は恒暗条件においても、約24時間のリズムを維持することが明らかになった。さらに興味深いことに、通常のトカゲ睡眠時に観察される周期的な睡眠ステージの切り替わりが、恒暗条件において、長周期化し不安定になることを発見した。恒暗条件では、行動量が著しく低下することから、行動量の低下か恒暗条件に起因する視覚入力の減少がこの変化に関わる可能性が考えられた。しかし、行動量と睡眠ステージ切替の周期長や安定性との間で相関解析を行ったところ、有意な相関関係は見られなかった。これらの成果をまとめて、論文を投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、摘出全脳標本を用いた研究を展開し、概日リズムと睡眠の関係の詳細に迫る。
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