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異質倍数性コムギをモデルとした植物常染色体の遺伝子量補正に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K14234
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分45010:遺伝学関連
研究機関福井県立大学

研究代表者

西嶋 遼  福井県立大学, 生物資源学部, 助教 (00841561)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード遺伝子量補正 / 常染色体 / 異質倍数性コムギ / 端部動原体染色体系統 / トランスクリプトーム解析
研究開始時の研究の概要

遺伝子量補正は主に動物の性染色体で知られる現象である。しかし近年、植物の常染色体においても、部分的なヘテロ欠失に対する発現量補正の存在が示されつつある。その一般性を示すためには、補正を受ける遺伝子と受けない遺伝子の特徴付けが求められるが、許容可能な染色体欠失長の限界とそれに伴う調査可能な遺伝子数の不足が課題となっている。本研究では、染色体腕を丸ごと失っても生存できる異質倍数性コムギを材料に、同祖遺伝子間の遺伝子量補正の有無を検証する。

研究実績の概要

遺伝子量補正とは、主に動物の性染色体で知られる現象であり、遺伝子の発現量が雄と雌との間で同レベルに調節される機構のことである。しかし近年、雌雄異株植物ヒロハノマンテマの性染色体やシロイヌナズナの常染色体においても、部分的なヘテロ欠失に対する発現量補正の存在が示されつつある。その一般性を証明するためには、遺伝子量補正を受ける遺伝子と受けない遺伝子の機能的特徴の記述が求められるが、先述のヘテロ欠失では調査可能な遺伝子数の不足が障壁となり、理解は進んでいない。そこで本研究では、染色体腕を丸ごと失っても生存できる異質倍数性コムギを材料にトランスクリプトーム解析を行い、同祖遺伝子間の遺伝子量補正の有無を検証する。補正を受ける遺伝子に共通する機能的特徴や染色体配置を染色体腕全長にわたって評価することで、ゲノムの構造変化に対する植物の遺伝子変動応答の詳細を明らかにする。
当初の計画では開花後1週間時点の登熟種子をサンプルとする予定であったが、開花時期やその時の気温、種子形成のスピードが系統によって大きく違ってしまうことから、同一の生育ステージ・同一の生育環境での遺伝子発現プロファイルの比較が困難になると考え、サンプルを幼苗に変更した。令和5年度春の胚乳のサンプリングを見送った個体から収穫した種子をバイオトロンで生育し、第4葉展開時の第3葉をサンプリングした。現在、BrAD-seq法(Townsley et al. 2015)による全長cDNAライブラリの調製がほぼ完了している。
並行して、シロイヌナズナのヘテロ欠失系統群のRNA-seqデータの解析を行なった。ロゼット葉、抽台後の葉および蕾の遺伝子発現解析を行なったところ、ロゼット葉と蕾で遺伝子量補正の傾向が強い結果となった。しかし、補正を受ける遺伝子の絶対数の不足から、GO解析等ではその特徴は捉えられなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

同一の生育ステージ・同一の生育環境での比較を優先すべきと考え、当初予定していた開花後1週間の登熟種子から第4葉展開時の第3葉にサンプルを変更した。その結果、ライブラリ調製の時期が年度末にずれ込み、未だシーケンス解析に進めていない。

今後の研究の推進方策

調製済みのライブラリのシーケンス解析を外注する。パンコムギ参照配列(the IWGSC RefSeq v2.1 from URGI repository: Alaux et al. 2018 Genome Biol.)に対してリードをマッピングし、同祖遺伝子ごとの発現量を得る。ABDの3つのサブゲノム全てで揃っている53259の同祖遺伝子群について(Ramirez-Gonzalez et al. 2018 Science)、各端部動原体染色体系統のもっていない染色体腕ごとに1)2つの同祖遺伝子、2)片方の同祖遺伝子、3)もう片方の同祖遺伝子による遺伝子量補正が確認される遺伝子群と、4)遺伝子量補正が確認されない遺伝子群に分類する。各グループについてGO解析や染色体配置の確認を行い、何らかの特徴がないか検証する。また、得られた結果をもとにシロイヌナズナのヘテロ欠失系統群のデータに立ち返り、種間で共通する法則性を評価する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Developmental differences between hermaphrodite and female-like flowers in a non-model horticultural plant <i>Dianthus hybrida</i>2023

    • 著者名/発表者名
      Sanjaya Alvin、Kobayashi Taiki、Nishijima Ryo、Shinoyama Harue、Kazama Yusuke
    • 雑誌名

      CYTOLOGIA

      巻: 88 号: 3 ページ: 265-272

    • DOI

      10.1508/cytologia.88.265

    • ISSN
      0011-4545, 1348-7019
    • 年月日
      2023-09-25
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transcriptome profiles of rice roots under simulated microgravity conditions and following gravistimulation2023

    • 著者名/発表者名
      Kuya Noriyuki、Nishijima Ryo、Kitomi Yuka、Kawakatsu Taiji、Uga Yusaku
    • 雑誌名

      Frontiers in Plant Science

      巻: 14 ページ: 1-11

    • DOI

      10.3389/fpls.2023.1193042

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 局所的遺伝子導入法を用いた、シロイヌナズナの1細胞ゲノム編集、および、ホルモンフリー不定芽・不定胚誘導2024

    • 著者名/発表者名
      池田美穂、生駒拓也、竹内洋輔、西嶋遼、光田展隆、中山潤、山形翼
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] NBRP・コムギ事業:大規模交配集団の整備2023

    • 著者名/発表者名
      太田敦士、新田みゆき、那須田周平、吉田健太郎、堺俊之、竹中祥太朗、松岡由浩、森直樹、西嶋遼、寺内良平
    • 学会等名
      第18回ムギ類研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 野生イネOryza glumaepatula種子根の組織構造に関わる遺伝子領域の推定2023

    • 著者名/発表者名
      馬場美幸、江尻真斗、西嶋遼、山形悦透、三浦孝太郎、塩野克宏
    • 学会等名
      第58回根研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒロハノマンテマの性決定遺伝子GSFYの誕生におけるCLV3様遺伝子の分子進化2023

    • 著者名/発表者名
      小林壮生、鬼頭萌、池田美穂、西嶋遼、Dmitry A. Filatov、風間裕介
    • 学会等名
      北陸植物学会第13回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シロイヌナズナの染色体で遺伝子量補正は起きるのか2023

    • 著者名/発表者名
      生駒拓也、池田美穂、西嶋遼、阿部知子、風間裕介
    • 学会等名
      日本遺伝学会第95回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シロイヌナズナ大輪変異体ohbana2における遺伝子変異解析2023

    • 著者名/発表者名
      外山大夢、白濱瞳、風間裕介、西嶋遼、石井公太郎、阿部知子、國武久登、平野智也
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本のパンコムギコアコレクションの種子根伸長角度の調査と関連遺伝子座の探索2023

    • 著者名/発表者名
      中野悠平、西村和紗、西嶋遼
    • 学会等名
      日本育種学会第143回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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