研究課題/領域番号 |
23K14249
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
長澤 竜樹 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (60782828)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 真骨魚類 / 全ゲノム重複 / 古代魚 / OMP遺伝子 / 魚類 / 嗅覚 |
研究開始時の研究の概要 |
すべての遺伝子が倍化する全ゲノム重複(WGD: whole genome duplication) は、遺伝子の新規機能獲得や機能分化を促す事から強力な進化の原動力と考えられている。WGDによる遺伝子の機能分化には、その後の数億年スケールに及ぶ長い進化時間が重要である事が近年明らかになってきた一方で、ほとんどが配列比較や統計学的解析に限定されており、実験的に検証した研究はほとんどない。本研究では魚類のWGDで倍化したOMP遺伝子に着目し、この発現領域の変化と転写制御領域の変化を種々の系統で観察し、WGD後の分進化プロセスを長期的に追跡する事を目的とする。
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研究実績の概要 |
遺伝子重複により倍化した遺伝子は、一方が元の機能を担保することで、他方が変異の蓄積を許容し易くなり、機能や発現の変化が生じる例が多く知られている。これらの事から、遺伝子重複は進化の原動力として広く知られている。中でも全ゲノム重複は、ゲノム中に含まれる全ての遺伝子が倍化する為、最も強力な進化の原動力として認識されている。全ゲノム重複は顕花植物、酵母、脊椎動物など、主要な系統でそれぞれ生じている事からも、極めて重要な進化的イベントであると考えられている。本研究では約3億年前に全ゲノム重複を起こした真骨魚類のOMP遺伝子を対象に、種間比較などから重複後の遺伝子における分子進化の様相解明を目指す。より具体的には、成熟嗅神経細胞マーカーとして知られるOMP遺伝子は、真骨魚類の全ゲノム重複による倍化後に、発現細胞を相互に排他的に選択する事が知られている。これらの発現パターンの違いが、いつどのように生じ、維持されているのかを古代魚や複数の真骨魚種を用いた解析から明らかにしていく。これまでに複数魚種の全ゲノム配列からのOMP遺伝子の単離、ゲノムシンテニー比較からOMP遺伝子の進化的振る舞いについて記述し、それらの発現パターンについて代表種を用いた比較解析を行っている。さらに、これらの詳細な比較から導き出された、分子進化の挙動についての仮説の検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに複数魚種の全ゲノム配列からのOMP遺伝子の単離、ゲノムシンテニー比較からOMP遺伝子の進化的振る舞いについて記述し、それらの発現パターンについて代表種を用いた比較解析を行っている。さらに、これらの詳細な比較から導き出された、分子進化の挙動についての仮説の検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はモデル魚類であるゼブラフィッシュを用いた外来遺伝子の取り込みや、ゲノム編集解析などからOMP遺伝子の進化パターンについて詳細な解析を行っていく計画である。さらにこれらの解析が完了次第、学術論文の執筆に取り掛かると共に、これまでの解析から見つかった、OMP遺伝子の新たな発現局在とその進化について、理解を深めていく。
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