研究課題/領域番号 |
23K14254
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
大矢 佑基 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 助教 (40964466)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヒラムシ / 筋走行 / ミトコンドリアゲノム / 組織切片 / muscular hydrostats / 系統 |
研究開始時の研究の概要 |
内骨格や外骨格の発達はそれを持つ動物の運動性を向上させ、多様な環境への進出を可能にする。しかし硬組織で構成される骨格系を持たない分類群であっても、多くの動物が高い運動性を実現しながら多様な環境に進出して種多様化を遂げている。 海産無脊椎動物であるヒラムシ類(扁形動物門)は硬組織の骨格系や鰭や付属肢など運動機能に特化した外部器官を持たないのにもかかわらず高い運動能力を有し、多様な海洋環境への進出を果たしている。本研究ではヒラムシ類の体壁の筋肉に着目し、筋走行の解剖学的特徴の記述および筋走行の多様化の進化史復元に取り組み、体壁筋肉層の多様性と運動性・生息環境との関係性を推定する。
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研究実績の概要 |
内骨格や外骨格の発達はそれを持つ動物の運動性を向上させ、多様な環境への進出を可能にする。しかし硬組織で構成される骨格系を持たない分類群であっても、多くの動物が高い運動性を実現しながら多様な環境に進出して種多様化を遂げている。海産無脊椎動物であるヒラムシ類(扁形動物門)は硬組織の骨格系や鰭や付属肢など運動機能に特化した外部器官を持たないのにもかかわらず高い運動能力を有し、多様な海洋環境への進出を果たしている代表例である。本研究ではヒラムシ類の体壁の筋肉に着目し、①組織学的観察による体壁筋肉層の記述・比較、②ミトコンドリアゲノムに基づく信頼性の高い系統学的情報の取得、③得られた系統関係に基づく体壁筋肉層と生息環境拡大の進化史推定、の3点を実施する。 2023年度は解析環境の構築を行い、準備していた8種のヒラムシ(遊泳性1種、転石表在性3種、海藻上性2種、共生性3種)からDNAを抽出して次世代シークエンサーによるデータ取得とミトコンドリアゲノムのアセンブリを試みた。このうち6種において環状配列が得られ、現在アノテーションを進めている。また6種のヒラムシ(遊泳性1種、転石表在性2種、海藻上性2種、共生性1種)について輪状面の組織切片を作製してマッソン・ゴールドナー染色による体壁筋肉の観察を実施した。体壁の最外層である環状筋には種間差は見られないものの、その下にある縦走筋と斜走筋に種差が見られ、詳細な観察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミトコンドリアゲノムの配列決定ではアノテーション作業に時間を要している。既存のソフトウェアでは誤検出されたり、検出できなかったりする遺伝子が散見され、個々に確認を進めている。また一部のキーとなる分類群では抽出DNAの量が少なく、次世代シークエンサーでのデータ取得ができなかった。 形態観察では染色用器具の納品が遅れたことに加え、薄切・染色条件の最適化に時間がかかっている。分類群間で染色性の違いが大きいため、それぞれの種に適した条件を探る必要があると判明した。 以上のことから「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリアゲノムのアノテーションはこのまま作業を進める。新規に抽出する標本については2023年度よりも組織量を増やして実施する。2023年度にデータ取得できなかった分類群は別個体の標本を準備できている。 形態観察は引き続き輪状面切片の作製・観察を進める。矢状面切片については観察予定の分類群と同種のHE組織標本がすでにある場合にはそれらの脱色・再染色を行うことで新規の切片作製にかかる時間を短縮する予定である。
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