研究課題/領域番号 |
23K14262
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 沙央里 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (10877319)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 送粉共生 / ハナホソガ属 / コミカンソウ科 / 虫こぶ / 集団遺伝構造 |
研究開始時の研究の概要 |
生物種間の相利共生は、その普遍性から何らかのメカニズムにより安定的に維持されていると考えられてきた。しかし、我々はコミカンソウ科植物と花に送粉・産卵するハナホソガ属(ガ類)との送粉共生関係で寄生的送粉者となり、共生的な送粉者を絶滅へと追い込むと考えられる種を見出した。この寄生的送粉者は虫こぶ形成性を持ち、宿主の種子生産を低下させる。これら2種のハナホソガの分布から、寄生的送粉者が共生的送粉者の分布地域に後から侵入し、分布拡大していると考えられる。本研究は、寄生的送粉者の共生系への影響を評価することで、相利共生系はダイナミックに変化しながら維持されている、という新しい視点を与える研究である。
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研究実績の概要 |
本年度は、調査対象種であるハナホソガ2種(Epicephala obovatellaとEpicephala corruptrix)が生息する奄美大島で、次の2点を実施することを目的とした。一つ目は、ハナホソガ2種の分布モニタリングを行うことである。これまで、定期的にハナホソガ調査を行ってきた5月は奄美大島島内の宿主個体で花期が同調する時期である。今年度は、花期非同調期である夏と冬に奄美大島に赴き、GPSで記録していた宿主50株について、ハナホソガ2種と果実のサンプリングを実施した。記録済みの宿主個体には、果実が見当たらないものもあったので、果実が見られた宿主個体を新たにGPSで記録して、調査対象個体とした。調査後、果実から得られたハナホソガ個体を同定し、宿主個体に生息していたハナホソガ種を記録した。その結果、宿主1個体から得られるハナホソガ個体数は5月よりも著しく少ないが、花期非同調期においてもハナホソガ2種が生息していることを確認した。得られたハナホソガ個体は適切に保管し、次年度以降にサンプリングしたものとまとめて分子実験により遺伝的情報を得る予定にしている。二つ目は、ハナホソガ2種が宿主カンコノキに与える影響の評価方法を検討することである。ハナホソガ2種が宿主に与える影響を評価するために、予備調査を行った。異なる時期で果実およびハナホソガ個体をサンプリングした宿主個体の開花の状態、結実状態などの情報をそれぞれ記録した。それらの情報の中から、異なる時期で評価が可能な情報を複数選抜した。次年度にこれらの評価項目を使用して、実際にハナホソガ種の影響を評価する予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
奄美大島で1年を通して複数の異なる時期に、ハナホソガ2種のサンプリングを実施でき、宿主に与える影響の評価方法を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、ハナホソガ2種が今後辿るであろう共存か絶滅かの方向を奄美大島をモデルとして評価することを目的のひとつとしている。今年度に確立した宿主への影響評価方法に基づき、今年度に引き続き、ハナホソガ2種のモニタリングとそれらの宿主に与える影響を評価する。本研究の初年度以降に得られたハナホソガサンプルに対して、DNA抽出を行いRAD-seqを行うことで、ハナホソガ2種のゲノムワイドなジェノタイプデータを取得し、遺伝的変異を評価する準備を整える。
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