研究課題/領域番号 |
23K14263
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山守 瑠奈 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (30946299)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 海洋無脊椎動物 / 生態系エンジニア / 穿孔生物 / 共生系 / 岩礁海岸 |
研究開始時の研究の概要 |
陸上・海洋生態系には、生態系エンジニアと呼ばれる、自らの体や生活過程によって周囲の物理的環境を改変し、新たな生息環境を創出生物が見られます。本研究では、海洋の岩礁地帯に存在するさまざまな巣穴に着目し、その巣穴を作り出した穿孔生物の生態や、穿孔生物が育む共生系の様相を解き明かすことを目標とします。研究の進展により、岩礁の生物多様性が形作られる仕組みの一端が解明されることが期待されます。
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研究実績の概要 |
本年度は、フィールド調査を中心に研究を進めた。奄美大島加計呂麻島にて許可取得のうえ、転石の泥岩を破砕してスズガイが穿孔した穴の中から共生生物を採集した。結果、環形動物・節足動物・軟体動物等の複数種が確認され、スズガイの巣穴が小型の底生生物の重要な住処となっていることが明らかになった。本調査は11月の秋季に実施したが、予備調査実施時(6月)より生物量が少数であった為、翌年6月に再度同様の定量調査を行ったうえで採集生物の種同定を進め、データを比較・整理し論文執筆を行う予定である。また、同様の穿孔生物調査は福岡県糸島および沖縄県複数海岸においても実施した。ここでは頁岩からホシムシ類が多数採集された。 また、穿孔生物自体に関する研究について、予定外の発展があった。日本の主な穿孔ウニ類については、本州からタワシウニが、南西諸島からはミナミタワシウニが知られる。一方で、本州である和歌山県白浜町から学生実習中にミナミタワシウニが発見された。本件に関して、ホシムシ類等を対象としたの穿孔生物の調査の折に沖縄県にて許可取得のうえミナミタワシウニのサンプリングを行い、遺伝子の解析を行った。同実験所所属の教員からサンプル提供を受けた小笠原の標本も合わせて精査したところ、和歌山県で採集されたタワシウニ類はミナミタワシウニであり、本種は国内で遺伝的に分かれないことが明らかになった。本課題は卒論生の研究課題として学生と共同で取り組み、現在論文を執筆中である。 さらに、ウニ類の共生者についても追加の成果が得られた。口器の中から小型の甲殻類が得られ、共同研究者との調査によって本種が日本初記録であることが判明した。本件は遺伝的・形態的な精査の上、学会発表ならびに論文執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していたフィールド調査が順調に進み、また近隣フィールドにおいて日本の穿孔生物相を整理する新たな発見を得、本件についても研究が進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、奄美大島での追加サンプリングに加えて、小笠原諸島での調査を実施する予定である。タワシウニ類の論文についても、共著者と執筆作業を進める。 また、調査研究の傍らで所属施設の切片制作環境の整備が完了したため、ウニの巣穴の特異的な共生者ハナザラの生殖巣の精査も進める。
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