研究課題/領域番号 |
23K14264
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松村 健太郎 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 特任助教 (50963229)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 活動性 / 人為選抜 / 進化生態学 / 行動生態学 / 生活史形質 / 捕食回避 |
研究開始時の研究の概要 |
活動性は、その他の動物行動や生理的形質などの様々な形質の基盤であるため、活動性に見られる個体差に焦点を当てた調査を行うことは、進化生態学的に重要である。活動性における個体差の進化に関する仮説はこれまでにいくつか提唱されているが、その実証研究はまだ数少ないままである。そこで申請者は、生物学におけるモデル生物のコクヌストモドキを対象として、申請者が育種した遺伝的に活動性が高い系統と低い系統を用いて、これまでに提唱された仮説の検証、および活動性を制御する遺伝子を調査する計画を立てた。この研究によって、活動性の個体差が集団内で維持される原因を究極要因および至近要因の両面から解明されることが期待される。
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研究実績の概要 |
多くの動物における行動の基盤的形質である「運動活性」に見られる個体差が集団内で維持される現象に対する仮説として、「pace-of-life syndrome 説」がある。しかしながら、この仮説に対する遺伝的基盤を持つ運動活性に焦点を当てた実証研究は数少ないままであった。本研究では、生物学におけるモデル生物であるコクヌストモドキTribolium castaneum を用いて、生活史形質に注目した「pace-of-life syndrome 説」に対する実証研究を行い、活動性の個体差が集団内で維持される現象の説明が可能かどうかの検証を目的とした。実験に使用したコクヌストモドキは、活動性に対する人為選抜が行われ、遺伝的に活動性が高い(H)系統と低い(L)系統が確立されている。この選抜系統を用いて、発育期間、成虫の体重、寿命、卵サイズ、産卵数、孵化率をそれぞれ測定して、系統間で比較した。その結果、H系統の方がL系統よりも、産卵数と孵化率が有意に増加するが明らかになった。一方で、寿命はL系統の方が有意に長いことが明らかになった。発育期間、成虫の体重、卵サイズには系統間差が見られなかった。これらの結果から、本種の活動性は生活史形質と遺伝相関の関係にあり、繁殖においてはH系統の方が、寿命においてはL系統の方が有利であり、それぞれメリットとデメリットがあることが明らかになった。そのため、本研究結果で明らかになったことが異なる活動性がそれぞれ集団内で維持される原因の一つである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた生活史形質の計測を完了出来たため、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「locomotor crossover 説」を検証するために、各選抜系統由来のコクヌストモドキと、捕食者としてのコメグラサシガメ(Amphibolus venator)を用いた捕食実験を行う。捕食実験の前に捕食者の活動性を測定し、活動性が異なるコメグラサシガメ間で、捕食されるコクヌストモドキの数がH系統とL系統で異なるかどうかを検証する。また、コメグラサシガメは待ち伏せ型の捕食者であるが、捕食者の捕食タイプで結果が異なるのかどうかを検証するために、探索型捕食者であるアダンソンハエトリ(Hasarius adansoni)を用いた同様の捕食実験を行い、結果を比較する。
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