研究課題/領域番号 |
23K14270
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
佐藤 安弘 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10777949)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 植物間相互作用 / 生態ゲノミクス / 遺伝子発現解析 / ゲノムワイド関連解析 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝子の発現情報は個体の環境応答や機能形質を代表する重要な指標になりうる。野外環境において遺伝子発現の動態を解明する試みは植物を中心に進んでいるものの、植物個体間の関係はほとんど考慮されてこなかった。本研究では、野外栽培したシロイヌナズナ200系統のRNA-Seqデータに近傍個体間の相互作用を考慮したGWASを適用することで、個体間相互作用の影響を受ける遺伝子群およびそれらの変動を担う量的遺伝子座を特定する。独自に取得したデータと解析手法を組み合わせることで、どのような機能遺伝子群が個体間相互作用の影響を受けやすいかを網羅的に解明する。
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研究実績の概要 |
本計画では、独自に取得したモデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の遺伝子発現と表現型データを基にして、近傍個体を考慮したトランスクリプトームワイド関連解析(TWAS)を開発する。通常のTWASの方法に従って、遺伝子型から遺伝子発現までを1段階目、遺伝子発現から表現型までを2段階目とした2段階の解析を課題期間を通して実施する。 2023年度は本計画の初年度として遺伝子型から遺伝子発現までの1段階目の解析に着手した。まず、先行研究(Kamitani et al. 2019 Scientific Reports)に従って、野外栽培したシロイヌナズナ199野生系統における各遺伝子の発現レベルを定量し、発現している遺伝子を2万程度まで絞り込んだ(2年x2地点, 計2394個体, 21,712遺伝子)。次に、各遺伝子の発現レベルを応答変数としたNeighbor GWAS法(Sato et al. 2021 Heredity)によって遺伝分散を推定し、各遺伝子の発現に対する近傍個体間の寄与率を明らかにした。その結果、最近傍個体の影響を受けやすい遺伝子群として光応答に関与するものを、離れた個体の影響を受けやすい遺伝子群として防御応答に関与するものを、それぞれ検出した。さらに、自身と近傍個体の遺伝分散の推定値を用いることで、遺伝子発現に対する自身もしくは近傍個体の効果を正味の予測値に分割する方法を見出した。以上の結果から、遺伝子発現量を形質としたGWASの対象とすべき遺伝子群を同定し、表現型との関連を解析するための遺伝子発現の予測値を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、1段階目の遺伝子発現解析に着手した。計画の大きな見直しも無く、想定していた手法を用いて遺伝分散の推定や遺伝子の絞り込みを進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、遺伝子発現量を形質としたGWASの対象とすべき遺伝子群を同定し、表現型との関連を解析するための遺伝子発現の予測値を得た。これらの結果に基づき、次年度はGWASによる発現量的遺伝子座(eQTL)の同定と、2段階目の表現型解析に向けた手法の検討を進める。
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