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日本をモデルシステムとした渡り経路の進化における歴史的制約の相対的影響力の評価

研究課題

研究課題/領域番号 23K14272
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分45040:生態学および環境学関連
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

青木 大輔  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (80963818)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード歴史的制約 / 鳥類の渡り / 適応進化 / 生物地理学 / バイオロギング
研究開始時の研究の概要

本研究は多様な鳥類の渡り経路が進化したプロセスの解明を目指す。そのために、渡り経路の進化プロセスを、現在の環境への「適応進化」と、適応を制約している歴史的要因「歴史的制約」の二つの進化的重要プロセスに分け、それらの相対的重要度を明らかにすることを目的とする。適応進化と歴史的制約を分離できる日本列島の渡り研究システムにおいて、複数種・複数集団の渡り経路をバイオロギングによって直接追跡する。各種・集団を考慮し、得られた渡り経路と、適応が生じる現在の環境、歴史的制約を生む過去の分布や地理の間の相関関係を明らかにする。これによってロバストな適応進化と歴史的制約の相対的影響力を評価する。

研究実績の概要

本研究は多様な鳥類の渡り経路が進化したプロセスの解明を目指す。そのために、渡り経路の進化プロセスを、現在の環境への「適応進化」と、適応を制約している歴史的要因「歴史的制約」の二つの進化的重要プロセスに分け、それらの相対的重要度を明らかにすることを目的とする。この目的達成のため、本研究は大きく分けて、①渡り鳥の追跡、②渡り経路の推定モデルの開発、③開発した推定モデルによる追跡データの解析に分けられる。
当該年度は、①では北海道のキビタキ・センダイムシクイ、共同研究による青森県のコヨシキリ・オオヨシキリに追跡ロガーを装着できた。また、3年目に予定していたカッコウのリアルタイム追跡も開始した。前者四種の渡り経路データは令和6年度の再捕獲により回収する。カッコウの渡り経路は、現在進行形で追跡中であり、繁殖地である北海道から朝鮮半島、ミャンマー、インドを経由し、アラビア海を飛び越えてアフリカのタンザニア周辺で越冬することが判明した。朝鮮半島や極東アジアのカッコウもアフリカに渡ることが知られており、日本の集団も歴史的に制約されることでこのような渡りを獲得した可能性が考えられた。

②については、国立環境研究所との共同研究を実施し、渡り経路の軌跡データを再現できる環境変数の影響力を推定できるモデルを開発した。これを既存のノビタキの渡り経路データに適用した結果、ノビタキの渡り経路を最も説明した変数は、一見非適応的な向かい風であった。一方、風の変数を除くと、大陸上の過去の分布域が最も説明力が高くなった。これらの結果は、大陸上にあった祖先の分布域から追い風によって日本へ移住し、分布域へ制約するような渡りが発達した場合に想定されるシナリオであった。すなわち、歴史的な制約が相対的に適応よりも重要である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定通り、キビタキやセンダイムシクイという小鳥に渡り経路追跡用ロガーを目標値装着できた。さらに、青森県での共同研究を通じて、2年目に予定していたオオヨシキリ・コヨシキリの渡り経路追跡に着手することができた。また、共同研究を通じて、予定していた渡り経路の軌跡データを環境変数によってモデル化する手法の開発を達成できた。これらに加え、当初は3年目に予定していたカッコウの追跡も開始できた。そのため、1年目は当初の計画以上に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

①については、1年目に装着した追跡ロガーを小鳥の再捕獲によって回収することで、渡り経路データの取得(回収)を目指す。また、追加で4羽のカッコウもしくはツツドリにリアルタイム追跡装置を装着し、これらの個体の追跡を実施する予定である。これらの追跡は北海道・青森県といった北域の調査地で実施されたため、2・3年目では、関東甲信越において、これらの種へのロガー装着・渡り追跡・追跡データの回収を実施する予定である。
②については、1個体でのみ渡り経路を説明する変数の推定を実施したため、今後はこれを複数個体・複数集団・複数種に拡張する取り組みを行う。
③については、①でのデータ取得、②の開発とともに、網羅的なデータで実施することで、日本の渡り鳥に普遍的な現象として、進化の適応と制約の相対的重要度を評価する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 生物地理学的レガシーは鳥類の渡り経路の種差を説明する2024

    • 著者名/発表者名
      青木大輔・松宮裕秋・赤松 あかり・原星一・古巻翔平・髙木昌興
    • 学会等名
      第71回日本生態学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 小鳥の渡り経路を描く:渡り追跡研究の全国展開を目指して2023

    • 著者名/発表者名
      青木大輔・澤祐介
    • 学会等名
      日本鳥学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 小型追跡装置を用いた渡り研究への誘い ―渡り経路の全貌解明のための研究協力体制に向けて―2023

    • 著者名/発表者名
      青木大輔
    • 学会等名
      鳥類標識大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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